ヤマハの献身と功績、音楽の未来を切り拓く
ヤマハ株式会社の取締役会長、中田卓也氏が、2025年度「音の匠」の顕彰を受けることが発表された。これは一般社団法人日本オーディオ協会が1996年から実施している制度で、「音を通じて暮らしに関わり、社会に貢献した人物」に贈られる名誉ある称号である。顕彰式は「音の日」で知られる12月6日にちなみ、12月5日(金)に神田スクエアホールで行われる予定だ。
選考理由:音楽文化の礎を築く  
「音の匠」に選出された理由は、日本の電子楽器の発展を牽引し、新たな音楽文化の創出に寄与した卓越した業績にある。中田氏は、シンセサイザーやリズムマシンを含む幅広い電子楽器の企画・開発を手掛け、日本における電子楽器技術の基盤を築いた。この功績によって、さらなる電子楽器の普及が実現し、音楽業界やオーディオ業界全体に大きな影響をもたらした。
中田卓也氏のプロフィール  
中田卓也氏は1981年4月に日本楽器製造株式会社(現ヤマハ株式会社)に入社。入社当初から革新的な製品の開発に従事し、音源LSIやMSXパソコン、さらにはマルチ音源「FB-01」のプロジェクトにも関与した。
特に、1990年に発売された音源内蔵シーケンサー「QY10」は、携帯音楽制作のパイオニアとして多くの支持を受けた。氏はその後、電子楽器とプロオーディオの事業部を一まとめにし、世界市場での競争力を高めるための社内改革を進めた。さらに、スタインバーグやNEXOといった海外企業を買収し、音楽制作からライブ音響までを総合的にサポートする強固な事業基盤を確立した。
これに続いて、2009年にはハイブリッドピアノ「AvantGrand」を発表し、アコースティック楽器とデジタル技術の融合を果たしたこの製品は、新たな音楽体験を提供することに成功した。2013年6月にはヤマハ株式会社の代表取締役社長に就き、音楽文化の普及とその未来の発展に尽力してきた。
音楽文化への貢献  
中田氏は、一般財団法人ヤマハ音楽振興会理事長も務めており、音楽文化の普及と発展において多大な尽力をしている。彼の活動は、単なる音楽の販売や製品の開発にとどまらず、幅広い層の人々に音楽の楽しさを届けることを目的としている。
中田卓也氏が受賞する「音の匠」は、彼自身の業績を振り返る貴重な機会であり、今後の音楽業界におけるさらなる貢献を期待させるものとなる。顕彰式当日は、業界関係者たちが集まり、彼の功績を称え、今後の音楽文化の発展に向けた展望を語る貴重な場となるだろう。音楽を愛するすべての人にとって、彼の受賞は喜ばしいニュースであり、さらなる音楽的革新への期待が高まる。
