予備校盛衰史:受験システムの変遷と未来
本書『予備校盛衰史』は、教育・受験ジャーナリストの小林哲夫氏によって執筆された作品であり、2026年2月10日にNHK出版からリリースされる予定です。この本は、予備校の役割やその文化について深く掘り下げる内容が盛り込まれており、特に1970年代から1990年代にかけての「予備校文化」の黄金時代に焦点を当てています。
予備校の意義と変遷
小林氏は、かつての「大学受験に失敗したら予備校に行けばいい」という考え方が、いかに日本の受験文化に深く根ざしていたかを振り返ります。当時の浪人生は、ただの受験生にとどまらず、時にはドラマの主人公として扱われ、一種の憧れの存在でもありました。今の時代とは異なり、予備校は多くの生徒にとって「学問への入り口」として重視されていたのです。
しかし、時代は移り変わり、推薦・AO入試の普及に伴い、大学受験の様相は大きく様変わりしました。本書では、現代の受験生が見失った「学問への入り口」としての予備校の役割を再認識し、これまでとは異なる視点からその価値を明らかにします。
予備校の歴史
本書は、いくつかの章で構成されています。まず「いま予備校はどうなっているか」を探ることで、現在の予備校の実態を提示します。続く章では、予備校の草創期から戦中期の興亡、戦後から最盛期にかけての拡大期の様子を描きます。特に1980年代以降の寡占と淘汰、発展に至るまでの過程は、予備校文化を理解する上で非常に興味深い部分です。
さらに、予備校のアイデンティティや文化の創出、そして未来に向けた展望についても言及されており、少子化といった社会的な課題に対してどう対応していくのかも、本書の大きなテーマの一つです。
教育制度と予備校の関係
興味深い点として、予備校が日本の公的教育制度においてどのように位置づけられているのかがあります。日本の教育は「六・三・三・四制」を基盤としており、予備校はその存在がそもそも想定されていません。しかし、受験生にとって予備校は、大学合格への不可欠な存在であり、その重要性は強調されるべきです。
小林哲夫氏のプロフィール
著者の小林哲夫氏は、1960年生まれの教育・受験ジャーナリストで、数々の著書を持つ実績あるライターです。『大学ランキング』の編集長を務め、多岐にわたる教育関連書籍を著しています。
おわりに
「予備校盛衰史」は、単なる受験の歴史書ではなく、教育の在り方に一石を投じるような重要な著作です。受験生や教育者、さらには一般の読者にとっても、予備校の存在とその文化について再考を促す内容となっています。この一冊を通じて、私たちが見失っていた「学問への入り口」を再発見し、未来の教育への道筋を考えるきっかけを得ることができるでしょう。