グランドセイコーが新たに発表した「スプリングドライブ U.F.A.」は、その名の通り、超高精度の時計技術を駆使した一品です。セイコーウオッチ株式会社は、この製品を6月6日に発売すると発表しました。本モデルは、年差±20秒という精度を実現したスプリングドライブ・ムーブメント「キャリバー9RB2」を搭載し、世界でわずか80本のみの限定モデルが登場します。
この新ムーブメントは、グランドセイコーの長年の歴史と技術革新の結晶です。1969年に発表されたグランドセイコー V.F.Aから始まり、スプリングドライブの開発は1970年代に着手されました。これまでの機械式腕時計の限界を超え、クオーツのような高精度を両立させるために、複数の技術を駆使してきました。2004年には、スプリングドライブ・ムーブメント「キャリバー9R65」が完成し、実用性とパワーリザーブ約72時間を兼ね備えた腕時計が誕生しました。
新たに開発されたキャリバー9RB2は、3か月間の入念なエージングを経て安定した精度を実現しています。水晶振動子は新設計のICとともに真空密封され、温度や湿度、静電気などの影響を受けにくい設計が施されています。また、初の採用となる緩急スイッチによって、使用による精度のズレをアフターサービス時に補正可能です。これにより、長期間にわたって愛用できるモデルとなっています。
デザイン面でも新たな挑戦が盛り込まれています。ムーブメントの造形は、製造工房である信州の北アルプスの自然からインスピレーションを受けており、グランドセイコーならではの「霧氷仕上げ」を施されています。この仕上げは、霧が凍結した様子を模したもので、ムーブメント全体に美しい輝きを生み出します。
本モデルは、エボリューション9 コレクションに属し、その特徴的なデザインスタイルは視認性と独自性を兼ね備えています。ケース径は37mmとコンパクトで、薄型かつ低重心のケースにより安定した装着感を提供しています。素材には、軽量で美しい輝きを持つ「ブライトチタン」が使用され、限定版はプラチナ950を採用。また、熟練の研磨師によるザラツ研磨は、鏡面仕上げと美しい稜線を生み出します。
ダイヤルは、信州の霧ヶ峰高原に冬に見られる樹氷をイメージしたデザインで、型打たれた精緻な模様が施されています。光の当たり具合によって表面が煌めき、存在感を放つ美しい青色が印象的です。さらに、レギュラーモデルにはシルバーがかったフローラルなブルーが採用されています。
ブレスレットも新機構を採用しており、2mm単位で調整可能な中留は装着性を向上させます。これにより、エボリューション9スタイルを引き継いだ美しさと機能性を兼ね備え、最高の着用感を提供します。
グランドセイコーは1960年から続く時計ブランドで、常に正確さと美しさを追求してきました。このスプリングドライブ U.F.A.は、その理念を体現した製品です。
本プロダクトは、30年にわたる技術の結実であり、時計愛好家やコレクターにとっても見逃せない一品となるでしょう。正確で美しい腕時計がほしい方に、ぜひ手に取っていただきたい逸品です。