医療的ケア児と障がい児も楽しめる映画上映会
医療的ケア児や障がい児を対象にした特別な映画上映会が、全国22会場で開催されることになりました。その名も『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』の特別上映会。これは、医療的ケアが必要な子どもたちとそのご家族が安心して映画を楽しめる環境を提供することを目的としています。
医療的ケア児とは
医療的ケア児とは、日常的に医療的なサポートが必要な子どもたちのことを指します。このような子どもたちは、人工呼吸器などを使用しながら日常生活を送っており、その数は全国で約2万人とされています。彼らが安心して社会生活を送るためには、周囲の理解と支援が欠かせません。
NPO法人AYAの活動
今回の上映会を実施するNPO法人AYAは、「スポーツ・芸術・文化を通じて、子どもたちの世界観を広げる」という使命を掲げています。病気や障がいを抱えた子どもたちとその家族に向けた様々なプログラムを展開しており、2023年度には映画上映会に加え、バスケットボール観戦や海水浴などのイベントも行っています。これにより、延べ1,368名の参加者が新たな体験を得ることができました。
映画館での映画鑑賞の課題
映画館で映画を観たいと願う医療的ケア児とその家族。しかし、従来の映画館では、周囲に迷惑をかけるのではないかという不安が大きなハードルとなっていました。急に声を出してしまったり、医療機器の音が響くといった理由から、映画鑑賞を諦める家族も多かったのです。この現状を受け、医療状態にある子どもも安心して参加できる環境作りが模索されました。
上映会の実現
各地の映画館と協力し、シアターの貸し切りを通じて“じっとしていなくても、声を出しても安心して映画を鑑賞できる”という新しい環境が実現しました。また、医療従事者が会場で見守ることで、施設側の不安も軽減されました。初回はTOHOシネマズ川崎で実施され、参加者からは「周囲の目を気にせず、楽しめた!」という嬉しい声が溢れました。
2024年の実績と2025年の予定
2024年春には、全国の13会場で『映画ドラえもん のび太の地球交響楽』が上映され、2,056名の動員を記録。その後も、夏秋には『映画クレヨンしんちゃん』、冬には『モアナと伝説の海2』と、数多くの上映会が行われています。今年からさらなる拡大が予定されており、2025年春には新たに全国20会場以上で上映を予定しています。
参加方法とボランティアの募集
参加料金は、子どもも大人も一律1,000円と設定されています。また、ボランティアの募集も行っており、医療に興味がある方の参加を歓迎しています。詳細はAYAの公式ウェブサイトで確認できます。
このように、医療的ケア児や障がい児が安心して映画を楽しむための努力が重ねられています。子どもたちの笑顔が映し出される空間を創造することで、社会全体が彼らを支える力となることが期待されます。