映画『イミディエイト ファミリー』トークイベントリポート
7月13日(月)、神奈川県茅ヶ崎市にあるイオンシネマ茅ヶ崎にて、映画『イミディエイト ファミリー』のトークイベントが開催された。登壇者には、ラジオDJでありプロデューサーのジョージ・カックル氏と音楽評論家の宮治淳一氏が参加した。
本作は、ウエストコースト・サウンドの裏側を描いた音楽ドキュメンタリーで、数々の名曲を支えたセッション・ミュージシャンたちの貴重な証言をもとにストーリーが展開される。音楽の重要な要素を担う彼らの存在に焦点を当てるこの作品は、多くの音楽ファンの注目を集めている。
この日、ジョージ・カックル氏は「僕が担当しているラジオ番組では、流している曲の約40%はこの映画の主役たちの演奏によるものだと思う」と語り、彼らの音楽が日常にどれほど浸透しているかを紹介した。特に番組で頻繁にかかる西海岸の音楽は、セッション・ミュージシャンたちによるものであると強調した。
セッション・ミュージシャンの魅力
宮治淳一氏は、「映画に登場する人たちは、自分名義でレコードを出すことは少なく、主にシンガーソングライターのバックで演奏してきたミュージシャンです。彼らがこれほどまでに自らの体験を語る姿を見るのは初めてでした」と話し、彼らの普段見せない一面が映画を通じて表現されていることを語った。
映画の中での一つの感動的な瞬間に、ジョージ氏はジャクソン・ブラウンの「ドクター・マイ・アイズ」のベースラインを挙げ、「この曲の主役は意外にもベースだと気づかされた」とその感動を吐露した。観客に対する影響を示す一例として、この意外性が観る人々にとっても新たな発見となることを示唆した。
さらに、イベントではセッションミュージシャンたちとのインタビューも話題となった。ジョージ・カックル氏は、ワディ・ワクテルとのインタビューが2時間も続いたことを明かし、裏話が豊富であることを強調した。特に1972年から1973年にかけてのジェイムス・テイラーの来日公演にまつわる秘話は、昭和の音楽シーンの一端を垣間見せてくれた。
湘南と西海岸の共通点
二人は湘南と西海岸の景観や音楽スタイルが似ていることについても語り、「ヤシの木と広い海」が共通の特徴であるとジョージ氏が例えた。宮治氏もその意見に賛同し、「湘南の音楽は西海岸の雰囲気を反映している」と述べた。70年代には、西海岸サウンドが日本国内でも多くのファンを生み出し、イーグルスやジャクソン・ブラウンの影響を受けた数々のアーティストが現れたことにも触れた。
また、ジョージ氏は、この映画の制作において日本の音楽関係者であるKaz Sakamoto氏がダニー・コーチマーのアルバムを手がけたことで、ザ・イミディエイト・ファミリーが形成されるきっかけとなったことを伝え、日本がこのバンドを”立ち上げた”とさえ表現した。
深い内容の作品
宮治淳一氏は、「映画には98曲以上の音楽が使われており、その著作権のクリアランスには膨大な時間と費用がかかったはずです。また、監督は『レッキング・クルー』でも知られるデニー・テデスコなので、深い内容の作品になっています」と感想を述べた。
このイベントトークでは、音楽のヒット曲に隠されたストーリーがいかに多いかを改めて感じさせる内容であり、観客は映画を観終わった後、改めて曲を聴き直したくなることだろう。
映画『イミディエイト ファミリー』は現在、TOHOシネマズ シャンテやYEBISU GARDEN CINEMAなどで劇場公開中であり、次回のトークイベントも予定されている。音楽ファン必見の映画である。