生誕140周年記念の藤田嗣治を描く新たな舞台『白い暗闇』
2026年3月19日から24日にかけて、東京芸術劇場シアターウエストにて『藤田嗣治~白い暗闇~』が上演される。この舞台は、日本人画家藤田嗣治の生誕140周年を祝う特別な作品であり、彼の複雑な人生の一面を探る評伝劇となっている。
藤田嗣治の道のり
藤田嗣治は、生涯を通じて自己の表現を求め続けた芸術家だ。彼は、横浜港からパリへと旅立ち、そこでは独自の画風を模索していた。しかし、当時のパリは様々なアートスタイルが渦巻く競争の場であり、彼は次第にその波に飲み込まれていく。第一次世界大戦が勃発すると、彼のアートは新たな方向へと舵を切ることとなる。
彼のキャリアは二つの時期に分かれる。ひとつはパリ時代(1913年~1929年)で、ここで彼は“乳白色の肌”という独自の技法を確立し、日本人として初めてパリで名声を得る。もうひとつは、太平洋戦争の時代(1938年~1945年)で、彼は軍部の要請に応じて『アッツ島玉砕』などの戦争画を制作した。この二つの時代を通して、藤田の芸術に潜む葛藤と痛みが浮かび上がる。
新たな視点からの演出
今回の舞台では、著名な俳優・石橋徹郎が藤田役を務め、舞台美術には土岐研一、衣装には西原梨恵が起用される。新演出では、藤田が戦争画を描いた背景や、それがもたらした影響に焦点を当てている。特に、「お前の戦争画は大衆の自画像だ」というセリフが重要であり、その視覚化に力を入れた構成となっている。このように、過去の芸術家の意識に迫ることで、観客に強いメッセージを届けようとしている。
戦争画の意味
戦争画は、戦争という過酷な現実を記録する一方で、政治的な利用もされてきた。藤田嗣治はその波に巻き込まれながら、自らの立場を見失うことなく表現を続けた。特に、当時の新聞報道や軍の要求に応じる中で、彼がどのように自らのアイデンティティを保とうとしたのかを描いた内容が、舞台を通して示される。
劇団印象の魅力
本作を上演する劇団印象は、2003年に設立され、「遊びは国境を越える」という理念のもと、多様な文化を超えた作品を提供することを目指している。舞台に触れた観客が、日常生活の新たな視点を得られるよう工夫が凝らされているのが特徴だ。
公演情報
- - 公演期間: 2026年3月19日 (木) - 24日 (火)
- - 会場: 東京芸術劇場シアターウエスト(東京都 豊島区 西池袋)
- - チケット料金: 一般5,000円、U29(要証明書)3,500円
チケットは「カンフェティ」にて現在販売中で、さらに公演ごとに異なるアフタートークも予定されている。
この舞台『藤田嗣治~白い暗闇~』は、歴史に残る芸術家の足跡を追うだけでなく、現代に生きる私たちに考えるきっかけを与えてくれることでしょう。劇場でこの貴重な機会をお見逃しなく!