Mobb Deepが再び登場!ニューアルバム『INFINITE』をリリース
米Pitchforkが「2025年 史上最高のラッパー」に選出したMobb Deep(モブ・ディープ)が、同タイトルのラストアルバム『INFINITE』を発表しました。この作品は、彼らの創立メンバーであるProdigy(プロディジー)が亡くなった後、初めてのフルアルバムとなります。彼の未発表のボーカルとHavoc(ハヴォック)の緻密なプロダクションが見事に融合し、時代を超越する魂のこもった作品が完成しました。
このアルバムは、Mobb Deepの文化的な遺産へのオマージュであり、同時に次世代への継承とも言える内容が盛り込まれています。前作から17年が経過し、Prodigyの死から8年の時を経た今、Havocは彼への敬意を表し、新たな情熱をもって制作に取り組んだとのことです。
『INFINITE』では、Nas(ナズ)、Raekwon(レイクウォン)、Ghostface Killah(ゴーストフェイス・キラー)、そしてBig Noyd(ビッグ・ノイド)などのMobb Deepのファミリーが再集結し、Jorja Smith(ジョルジャ・スミス)やH.E.R.(ハー)など新世代のアーティストとのコラボも実現。プロデューサーとしては、HavocとThe Alchemistが参加し、Mobb Deepらしいサウンドに仕上がっています。
Havocは「Prodigyのヴァースを選ぶ際、まるでお願いするような気持ちだった。彼以上のMCは考えられない。彼の相棒でいられたことに感謝している」と語っています。
新たなリードシングル「Down For You」
アルバムのリードシングル「Down For You」(feat. Nas, Jorja Smith)は、感情の深みを表現する曲となっています。Havocの幽玄なプロダクションにJorja Smithの力強いボーカルが乗り、愛がもたらす苦しみとそれを乗り越える力を描写しています。歌詞の中で彼女は「あなたを心に抱くことが痛みになる。もし愛することが私の破滅なら、それでもあなたのために堕ちるわ」というフレーズを聴かせ、曲の感情的な核心を際立たせています。
Havocは、この意外なコラボレーションについても触れ、「Mobb DeepとJorja Smithの組み合わせはあまり予想されなかったと思う。でも、俺は予想外のことをやるのが好きだ。彼女はすぐにこの曲を気に入ってくれて、素晴らしい表現をしてくれた。彼女の声が曲に新しい感情の層を加えてくれた」とコメントしています。
ミュージックビデオのビジュアル
Hidji World(ヒジ・ワールド)が監督を務めたミュージックビデオは、楽曲の深い感情を映像で表現しています。Havoc、Nas、Jorja Smithがパフォーマンスを披露する一方で、若い看護師が涙を集め、その涙で庭を潤す場面が交互に映し出されます。このビジュアルは癒しと再生をテーマにし、痛みを成長へと変える様子を象徴しています。
新たな歴史の一頁
デビューアルバム『The Infamous』から30年を迎えるこの年にリリースされる『INFINITE』は、Mobb Deepにとっての最後の作品であり、彼らの集大成とも言える作品です。故Prodigyの遺した声を通じて、過去の力を呼び起こし、本作は次世代へとつながる架け橋となるでしょう。
また、今回のアルバムはMass Appealによる“Legend Has It”キャンペーンの一環としても展開されており、Slick Rick、Raekwon、Ghostface Killahなど、伝説的なアーティストたちの新作リリースを祝う企画となっています。
Mobb Deepの影響力
Mobb Deepは、Havocと故プロディジーの2人組で、Hip-Hop界でも特に影響力のあるグループとして知られています。彼らはニューヨークのクイーンズブリッジから出現し、赤裸々なリリシズムと耳から離れないプロダクションでイーストコースト・ラップシーンに新たな風を吹き込んできました。
『The Infamous』は発表から間もなくしてゴールドディスクに認定され、数多くのヒットを生み出しています。Mobb Deepの音楽は世代を超えて多くの影響を与え続ける一方で、彼らの物語は『INFINITE』という作品を通じて新たなる章を迎え、荒々しいエネルギーが過去と現在をつなぎ続けています。
これからの活動にも注目が集まります。