文學界2025年9月号発売！ウルフ特集で百年の魅力を再探求

文學界2025年9月号の魅力

2025年8月7日、文学愛好家待望の文芸誌『文學界』の9月号が発刊されました。本号はヴァージニア・ウルフの名作『ダロウェイ夫人』が刊行から100年を迎えることを記念して、「ダロウェイ夫人なんかこわくない！」を特集テーマに掲げています。

特集内容

特集では、ウルフの作品に新たな光を当てる企画として、鼎談やオマージュ創作が用意されています。鼎談には山崎ナオコーラ、辛酸なめ子、柿内正午が参加し、現代の視点から『ダロウェイ夫人』の魅力を深掘りします。「夫人」での読み方や百年後の視点を交えた討論が展開され、どんな新たな解釈が生まれるのか、非常に興味深い内容です。

オマージュ創作には、山内マリコ、沼田真佑、円城塔、大崎清夏、鈴木結生といった作家が参加し、それぞれの視点からインスパイアされた作品を発表します。これにより、原作のエッセンスが現代にどのように息づいているのかを感じることができることでしょう。

創作と特別エッセイ

また、創作部分では筒井康隆、古川真人、戌井昭人による新作も収められており、読む者に新たな感動を提供します。特別エッセイとして鈴木結生による「書かれなかった自伝――ヴァージニア・ウルフ『ある作家の日記』を再読して」もあり、ウルフの人生に迫る貴重な内容となっています。

英語能『オッペンハイマー』の全訳

今回の号では、原爆投下から80年の節目となる夏に東京で初めて上演された英語能『オッペンハイマー』の台本全訳も掲載されています。この台本により、当時の歴史をどのように扱っているのか、読む者に新たな思考をもたらします。著名な作曲家アラン・マレットによるこの作品は、歴史的な背景を探求する上でも見逃せない要素です。

他の魅力的なコンテンツ

そのほかにも、穂村弘と小原晩の対談や、小林エリカの講演録、さらには山田詠美作品をもとにした料理を今井真実がレシピ化した追体験ルポなど、幅広いジャンルの記事が揃っています。

特にオカヤイヅミによる「Amyʼs Kitchen追体験記」は、作品はもちろん料理を通じて文学の楽しみを感じさせてくれる内容です。料理が持つ文化的な背景も含めて考察されており、文学と食が交わる場面が描かれています。