音楽教育の未来を拓く遺贈寄付の新たな試み

一般社団法人全日本ピアノ指導者協会（通称：ピティナ）は、音楽教育による人材育成のエコシステムを推進するため、三井住友信託銀行と遺贈寄付に関する協定を結びました。これは、音楽の未来を担う人材の育成を支える新たなフレームワークとして、2025年5月20日に正式に発表されました。

この取組みは、遺贈寄付を希望する個人の方にとって、専門的なサポートを受けられる魅力的な手段を提供します。遺贈寄付とは、個人が亡くなった際に所有している資産のすべてまたは一部を特定の団体や個人に寄付することを指します。ピティナへ寄付される資産は、コンクールの助成、地域での音楽活動の普及、音楽教育に関する研究など、さまざまな分野に活用されます。

多様性が求められる現代社会において、音楽教育は人間としての内面的成長を促進する重要な手段とされています。特に2022年に公式に承認された「IDGs」は、個々人の内面的な成長を重視し、音楽教育との相性が良いことから、ピティナとしても強く支援していく方針です。このような社会的な変化を背景に、ピティナは音楽教育を通じた人材輩出だけでなく、その人材が次世代を育てるサイクルを育むことを目指しています。

近年、音楽業界では指導者の高齢化が進行しています。特にピアノ指導者の中で50代以上の会員が約60％を占め、今後の人材確保が大きな課題となるでしょう。そうした中で、多くの先生方が自身の築いた資産をどのように次世代にフィードバックしていくかに悩む姿が見受けられます。この協定を通じて、ピティナは音楽教育のエコシステムを育むための長期的な財源を確保することが可能となります。

2025年5月20日に行われた調印式は、三井住友信託銀行の重要文化財である三井本館の地下で行われました。この場所は、若手の演奏家に演奏機会を提供し、市民に文化を届けるサロンコンサートが開催されることでも知られています。つまり、協定を結ぶという行為自体が、文化的価値の継承の象徴となるのです。

実際にピティナでは、様々な寄付者のニーズに応じたサポートを行い、音楽活動や教育に貢献する選択肢を広げています。現金の寄付のみならず、不動産や有価証券の評価資産に関連する包括的な遺贈寄付についても相談を受け付けています。

音楽教育が未来の社会にどのように貢献できるか、一緒に考え、行動するための担い手として、その一助となる遺贈寄付を検討されている方々はぜひこの機会にご相談ください。音楽が作り出す豊かな未来に向けて、一緒に力を合わせて歩んでいきましょう。