松任谷由実の魅力を伝える新たな文庫版
日本の音楽シーンにおいて、多大な影響を与えてきた女性ポップスター、松任谷由実(ユーミン)。彼女の音楽と人生の原点とも言える作品が待望の文庫化を迎えます。法人マガジンハウスが出版する『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』は、著者・山内マリコがその少女時代をノンフィクション・ノベルとして描く一冊です。本作は11月6日(木)から全国の書店やインターネット書店で購入できるということで、その話題に注目が集まっています。
松任谷由実の物語の始まり
本書は、松任谷由実が17歳で作曲家としてデビューする以前、彼女の少女時代に焦点を当てています。それは彼女が荒井由実として名乗る前の時代で、高度経済成長期の東京で育った少女が、どのようにして音楽の世界に引き込まれていくのかを丁寧に描写しています。著者は、ユーミンの募る好奇心や青春を形作った思い出を、ノンフィクションという視点からリアルに表現しています。
ユーミン自身も本書を読み、「山内さんの大いなる好奇心が、私自身が忘れていた愛を思い出させてくれた」と語るほど、彼女の音楽の源泉に迫る内容となっています。このコメントは、松任谷由実の過去と向き合う中での感情の揺れを伝えており、読者にその深さを感じさせます。
本書の魅力と内容
本作には全10章があり、それぞれ松任谷由実の生い立ちや若き日の経験を物語仕立てで描写しています。章立ては以下の通りです。
1. 八王子の由実ちゃん
2. ピアノ、清元、サウダージ
3. 立教女学院とパイプオルガン
4. マギーと立川基地
5. らせん階段の家
6. フィンガーズ・デイズ
7. 一九六九年
8. カルチエ・ラタン的御茶ノ水
9. セブンティーン!
10. ハロー、キャラメル・ママ
この各章は、松任谷由実というアーティストがどのようにして成長していったのか、彼女の音楽的成長や個人的な経験を通じて描かれ、その全貌を明らかにします。
また、本書は著者山内マリコによる緻密な取材が活かされており、ユーミンの記憶や経験を鮮やかに呼び起こす試みがなされています。特に、彼女がどのような環境で育ち、どのようにして音楽に目覚めていったのかを知ることができる貴重な内容です。
解説とデザイン
さらに、文庫版にはエッセイストの酒井順子による解説が収められており、彼女の視点から見る松任谷由実の音楽がどのように日本の音楽文化に影響を与えたかが語られています。ブックデザインは、大島依提亜さんが手がけており、装画は羽鳥好美さんが担当しています。これらの視覚的な要素も作品に深みを与えています。
終わりに
『すべてのことはメッセージ 小説ユーミン』は、松任谷由実の音楽愛好者はもちろん、音楽の背景にあるストーリーを知りたい方や彼女の生き様に興味がある方にも嬉しい一冊です。この機会に、ユーミンの原点を楽しむ素敵な文庫を手に取ってみるのはいかがでしょうか。彼女の煌めく才能がどのようにして今の形に結実したのか、一読の価値があることは間違いないでしょう。