エトロ2025秋冬コレクションが描く創造の起源と生命の流れ

エトロ2025秋冬コレクションの魅力

2025年秋冬コレクションにおいて、エトロは古代エジプトの神話をベースに独特なビジョンを表現しています。このコレクションは、神ラーの涙から始まる生命の起源を探求し、その過程を連想させるストーリーを展開します。ウィリアム・バロウズが語った「言語はウイルスである」という言葉に触発され、エトロは異なる文化や時代を超えて共通する神秘的な答えの探求を行います。

ランウェイを飾る「動物寓話集」

ランウェイでは、アートコレクティブ「ヌメロ・クロマティコ」が創造したカーテンが目を引きます。このカーテンには、神話上の生き物、絶滅した動物、そして生きている動物たちが共存する様子が描かれています。この「動物寓話集（ベスティアリウム）」は、動物たちの進化の軌跡を追体験させるかのようで、まるで生命の起源に触れるような体感をもたらします。

原初的な美しさを体現したコレクション

デザイナーのマルコ・デ・ヴィンチェンツォは、今季、生命がまだ芽吹く前の状態、つまり形を持たない原初的な世界からインスピレーションを受けて素材を選定。手触りの良い、厚みがありながらも軽やかな質感のファブリックが特徴的で、グレーズやラバーコーティング、刺繍などの技術が絶妙に融合し、奥行きが生まれています。流れるようなラインは身体を優雅に包み込み、さまざまなシルエットを作り出します。ショート、ロング、アシンメトリー、フリンジといった多様なスタイルが、エトロ独自のエレガンスを具現化しています。

プリーツがウエストを強調し、デニムやコーデュロイの上を這う幻想的な植物デザインは、このコレクションのテーマにさらなる深みを加えています。ブラッシュ加工されたウールや刺繍が施されたセーター、幾何学的なファセットに輝くスパンコールは、生き物のように変化し続ける原初の世界を体現しています。

神秘的なジュエリーと韓国アーティストとのコラボ

さらに、エトロでは異星から来たかのような生き物のジュエリーが登場。琥珀に閉じ込められた蜂をモチーフにした神秘的な輝きが印象的です。また、韓国出身のアーティスト、マリア・ジョンとのコラボレーションによって生まれた幻想的な花の刺繍が、衣服やバッグに添加されています。バッグのフォルムは、柔らかく丸みを帯びたものから、クリーンでシャープなラインまで多様なスタイルで展開しています。

ウールファーは野生の風景を連想させる元素として、ハットやコートに積極的に取り入れられています。これらのデザインはメンズウェアにも広がり、ジャケットやダッフルコート、ローブコートにサイケデリックなベルベットと融合することで一層の深みを持たせています。