着物が再生される社会へ──「絹彩」が拓く循環型ファッションの未来

日本の伝統文化である着物を再生し、循環型ビジネスモデルを推進する「絹彩（きぬいろ）」の取り組みには、強い意義があります。まるやま・京彩グループは、リユース着物専門店「たんす屋」を運営しており、SDGsに貢献するためのさまざまな活動を展開しています。その中でも特に注目されるのが、不要な着物を回収する「もったいないBOX」の設置です。

「もったいないBOX」の取り組みとは

この「もったいないBOX」は、MEGAたんす屋浅草店に設置されており、お客様が不要になった着物を持ち込むことで、次回のお買い物に使える商品券と交換できるというものです。例えば、以前のキャンペーンでは、着物を3点持ち込むことで500円分、5点では1,000円分の商品券が手に入るという特典が用意されていました。このように、不要な着物を無駄にせず、次の世代へと受け継ぐ仕組みが確立されています。

着物の新たな命を吹き込む「絹彩」

「絹彩」は、着物再生プロジェクトの一環として、不要な着物を新たなアイテムへと生まれ変わらせることを目指しています。東京ドームの約3分の1に及ぶ面積を持つ平塚物流センターでは、各地から集まった着物が丁寧に選別され、アロハシャツやガウン、スカートなど、個性的なファッションアイテムへと加工されていきます。汚れや傷みがある着物でも「何かにできないか」と試行錯誤しながら、ハンドメイド用のハギレや小物としても利用されています。これにより、着物は最後まで大切に受け継がれていくのです。

インバウンド需要と着物文化の広がり

近年のインバウンド需要の高まりにより、外国人観光客の来店が増加しています。再生された「絹彩」のアイテムは、日本文化の象徴としてお土産としても人気を集めています。「着物＝フォーマル」といった固定観念にとらわれず、自由な発想で作られたアイテムたちは、世代や文化を越えて多くの外国人に受け入れられています。