天才ピアニスト、スタニスラフ・ブーニンの舞台裏
1985年のショパン国際ピアノコンクールで輝かしい栄光を手にしたスタニスラフ・ブーニン。しかし、彼が表舞台から姿を消してから9年の間に、多くの困難と向き合うこととなりました。その彼の復帰までの道のりを描いたノンフィクション書籍『ブーニン』が、2025年12月10日に発刊されることが発表されました。著者は小堺正記氏とNHK取材班であり、この本は彼の復帰までの厳しい試練や仲間との絆を描いています。
ブーニンの試練:不屈の精神
ブーニンは1966年にモスクワで誕生し、祖父はロシアンピアニズムの創始者として名高いゲンリヒ・ネイガウスです。才能に恵まれた彼は、17歳でロン・ティボー国際コンクールを制覇し、さらに1985年にはショパンコンクールでの圧巻の演奏で1位の栄冠をつかみました。しかし、彼の人生はその後急転直下に変わります。
ソ連当局による厳しい監視と締め付けが強まる中、ブーニンは1988年に音楽活動の自由を求めて西ドイツへ亡命します。音楽家としての活動は思うようにいかず、2013年には左肩の腱板炎を発症、さらに2018年には自宅で転倒し左足首を骨折するという厳しい試練に直面しました。持病の影響もあり、医師からは左足の切断をすすめられるなど、絶望的な状況が続きました。
復帰のための激闘
「ピアノを奪われたら、私はもう私ではない」。ブーニンのこの言葉は、彼の強い意志を物語っています。彼は左足を大手術で8センチメートル短くして保存し、再び舞台に立つための道を切り開きます。この大手術には、ジャーナリストである妻・榮子氏や、イタリアのピアノメーカー、調律師らが一丸となって支えてくれました。特注のペダル製作や、献身的なリハビリにより、ブーニンは再び音楽の舞台へと戻ります。
感動を与える美しい演奏
そして2022年6月、9年ぶりに舞台に立ったブーニンが追求したのは「技術的な完璧さ」ではなく、聴衆に感動をもたらす美しい演奏でした。彼は、ただ技術だけでなく、音楽の本質を追求し続けることの重要性を強く感じています。本書『ブーニン』には、彼に影響を受けた多くの音楽家たちを紹介し、それぞれの思いが描かれています。
読者へのメッセージ
本書の読者からは多くの感想が寄せられています。「できていたことができなくなる」という恐怖や、「困難を乗り越えようとする人々への勇気」を感じることができる一冊となっています。再生の過程が決して簡単ではないことがリアリティを持って描かれています。そして、ブーニンの音楽が多くの人々に感動を与えることになるでしょう。
特別キャンペーンのお知らせ
書籍『ブーニン』の出版を記念して、東洋経済ID会員限定のプレゼントキャンペーンも実施中です。映画「ブーニン」ムビチケカード前売券が抽選で10名様に当たります。興味のある方は、ぜひ応募してみてください。応募の締切は12月21日です。
このノンフィクション書籍『ブーニン』は、音楽愛好者やクラシックファンはもちろん、人生の苦境を乗り越えようとするすべての人にとって、心を豊かにする一冊です。彼の感動的な復帰物語にぜひ触れてみてください。