靴下のケミカルリサイクル実証実験が示す新たな循環型ビジネスモデルの可能性
はじめに
衣類のリサイクルは、今や地球環境問題の重要なテーマとなっています。中でも消耗品である靴下や下着は、廃棄されやすいにもかかわらずリサイクルは進んでいない現状があります。この度、Bioworks株式会社が実施した実証実験は、使用済み靴下のリサイクルに新たな光を当てました。本記事では、その内容を詳しく解説します。
プロジェクトの背景
繊維のリサイクル率は、世界全体で1%未満とされており、特に混紡素材で作られる衣類はリサイクルが難しいとされています。特に靴下や下着は、年々多く購入されるにも関わらず、リユースやリサイクルは進んでおらず、廃棄率が高いのが現実です。環境省の調査によると、家庭から出る衣類の66%が廃棄されています。
この現状を変えるため、Bioworksは次世代合成繊維「PlaX」を用いた靴下のケミカルリサイクル技術の確立に向けて、消耗品の中でも特にリサイクルが難しい靴下を選び、実証実験を行いました。
実証実験の概要
実証実験は、名古屋市の株式会社グラックジャパンが運営する自社ブランド「TARROW TOKYO」との協力により実施されました。消費者と事業者に配布された靴下を使用後、回収し、その靴下をケミカルリサイクルするというプロセスが検証されました。このプロジェクトは消費者の心理的負担を軽減するため、ポリ乳酸で作られた回収袋を配布。参加者は、靴下を回収袋に入れて投函するだけで回収できます。
靴下の素材は、綿58%、ポリ乳酸23%、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタンを混紡したものです。
実証実験の結果
実験の結果、使用済み靴下がケミカルリサイクルを通じて、ポリ乳酸へ再生できることが確認されました。リサイクル原料を使用した靴下は、バージン原料に比べて約9%のCO2削減効果があることが分かりました。さらに、参加者が回収後に感じた心理的負担は低く、約70%が「不安や不快感を感じなかった」と回答しました。
このプロジェクトが提供する回収方法は、面倒さを最小限にする工夫が施され、靴下のリサイクル実施に対する意欲が高まる結果となりました。93.7%の参加者が今後同様の仕組みを利用したいと回答しました。
今後の展望
Bioworksは、今後もパートナー企業と連携し、回収から再資源化に至る持続可能なリサイクルモデルの構築を目指しています。また、消費者の心理的ハードルを低くするための施策をさらに検討し、靴下以外のアイテムにもリサイクルの輪を広げていく考えです。具体的には、肌着や下着のリサイクルも視野に入れていますが、参加意向については課題もあるため、慎重に進める必要があります。
PlaXとは
「PlaX」は、サトウキビなどを原材料とし、環境に配慮した素材として注目されています。従来のポリエステルに比べ、CO2排出量を大幅に削減できるため、サステナブルな製品作りに貢献しています。
まとめ
Bioworksの実証実験は、靴下だけでなく、今後の衣類リサイクルの新たなモデルを示唆するものでした。「PlaX」の可能性を追求することで、環境への負荷を軽減した製品が市場に求められる中で、持続可能な社会の実現に向けた一歩となるでしょう。今後の進展に期待が寄せられます。