新国立劇場で演じられる『社会の柱』第19期生修了公演の魅力

新国立劇場演劇研修所第19期生修了公演『社会の柱』

新国立劇場の演劇研修所が誇る第19期生の修了公演『社会の柱』が2026年2月10日から15日にかけて、新国立劇場小劇場で上演されます。この作品は、近代劇の父とも称されるヘンリック・イプセンによる写実主義的な社会劇で、現代の我々にも共鳴するテーマが潜んでいます。演出は宮田慶子が手がけ、翻訳はアンネ・ランデ・ペータスが担当しています。

物語の背景

物語の舞台はノルウェーの小さな港町。主人公は、有力な実業家であり、町の領事であるカルステン・ベルニックです。彼は妻のベッティーと、13歳の息子オーラフと穏やかな日常を送っており、地域の人々から「社会の柱」として敬愛されています。彼が進めている鉄道敷設事業計画が町の商人たちとの連携で進む中、ベッティーの弟ヨーハンとその異母姉ローナがアメリカから帰国します。二人は15年前の出来事で町を去っており、その過去がカルステンの現実を脅かすことになります。

作品のテーマ

『社会の柱』は、資本主義社会の理想やリーダーとしての倫理観、個人の自由や尊厳といった現代にも通じる深いテーマを掘り下げています。物語は、カルステンの過去の過ちが彼の周囲にどのように影響を及ぼすのかを描いており、観客はその展開に引き込まれることでしょう。また、この修了公演では、第19期生たちが3年間の研修で培った力を存分に発揮し、ひとつの集大成としての素晴らしいパフォーマンスが期待されます。

演出者とスタッフ

演出を務める宮田慶子は、劇団青年座に所属し、多岐にわたる作品に関わってきました。演劇教育の面でも活躍しており、彼女が演出する『社会の柱』は、その経験が生かされた深い内容が予想されます。また、翻訳を担当するアンネ・ランデ・ペータスは、ノルウェー生まれの演劇研究家であり、現在もイプセンの作品に取り組んでいます。彼女の翻訳によって、イプセンの言葉が生き生きと日本語で表現されます。