きこえない・きこえにくい観客への台本貸出調査結果
文化芸術のアクセシビリティ向上を目指し、ポールトゥウィンホールディングスの傘下にあるPalabra株式会社が2024年12月に実施した「きこえない・きこえにくい観客への台本貸出についてのアンケート調査」の結果が発表されました。データは、文化庁の「令和6年度障害者等による文化芸術活動推進事業」に基づくもので、特に悩みやニーズに焦点を当てています。
調査の意図と背景
この調査は、2022年に舞台芸術の事業者向けに実施した意識調査から始まりました。その結果、合理的配慮の義務化についての無知が多くの事業者に見られる一方で、実施したいという意欲は高く、条件が整っていれば前向きに取り組む意向があることが分かりました。しかし、最も大きな課題は資金面であることが浮き彫りとなりました。
現状、きこえない・きこえにくい観客への対応として、比較的コストのかからない「台本貸出」が実施されるケースが増えています。ただし、実際には多くのお客様から様々なフィードバックが寄せられています。このアンケートを通じて、事業者側がこれらの声を理解し、改善を促進することを目的としています。
実施された調査内容
アンケート調査は2024年11月21日から12月9日の間に実施され、76名の参加がありました。回答者の58.6%が「ろう者」で、26.6%が「難聴者」という構成で、聞こえの状況は多岐にわたっています。このような多様な背景を持つ参加者から集めた意見を分析し、特集記事を通じて報告されます。
調査の主な結果
前編では「台本貸出」に関する基礎データがまとめられました。具体的には、貸出期間、提供方法、内容、周辺情報が取り上げられ、実際に利用した観客からの生の声とともにリストアップされています。
以下は回答者から寄せられた実際のフィードバックの一部です。
- - 「公演決定当初は音声保障がなく、不便だったが、代理電話を利用したことで台本タブレットが貸し出されるようになった。これにより他の観客も借りられると知り、安心した。」(40代女性、難聴)
- - 「メールでの問い合わせは楽ですが、電話のみの企業の場合、詳細を事前に考えておかなければならず、ハードルが高いです。」(30代女性、ろう)
- - 「公演後に事業者から声をかけてもらい、その時の気持ちを伝えられたことが嬉しかった。」(40代女性、ろう)
このフィードバックを基に、「台本貸出」がどのように観客の体験を向上させているのか、または逆に課題を生んでいるのかを考察しています。
今後の展開
本調査の前編は2024年12月25日に公開されています。後半の内容については、具体的な改良点や利用者からの具体的な期待に応じた内容をデータとしてまとめ、2025年1月10日に発表予定です。
結語
今回の調査が多くの人々に「台本貸出」の必要性を理解してもらい、より多様な鑑賞サポートが増加し、きこえない・きこえにくい観客に対するサービスが向上することを期待しています。調査結果は、今後の参考として、多くの事業者に活用されることが望まれます。