地方観光を活性化する新たな試み『エンタビ®』
最近、地方の観光地は過疎化の影響を受け、衰退へと向かっています。そのような中で、新たなアプローチとして注目されているのが、観光客参加型のイマーシブシアター『エンタビ®』です。施行されたのはプレイング株式会社(本社:大阪府堺市)で、代表取締役の山本知史が中心となり、観光とエンターテインメントを融合させた革新的なプロジェクトです。
『エンタビ®』の特長
『エンタビ®』は、観光客が物語の中に巻き込まれる形で進行する体験型アトラクションです。兵庫県立兵庫津ミュージアムで人気を博した「バトルインヒョウゴノツ」に続き、近畿と東海地域での開催が決まりました。与謝野晶子記念館での実証実験を経て、観察されたのは、観光施設と地域の文化を融合させることで生まれる新たな価値です。
この新しい形の観光では、ロビーに集まった観光客に対して、劇中の役者が語りかけたり、観客自身がストーリーに参加したりすることが特徴です。たとえば、観光客が猫になりきって物語の中のキャラクターに接近するなど、能動的に楽しむことができます。
現代の観光ニーズに応える
コロナ禍を経て、日本の観光業は復活の兆しを見せていますが、その裏では地方観光地が直面している厳しい現実があります。観光客が押し寄せるオーバーツーリズムや、地方の少子高齢化が進む中、観光施設の入館者数は減少しています。特に日本博物館協会によると、年間5000人未満の入場者しか得られない施設が多く、閉館する博物館も増加しています。
それに対抗するために、地域の観光資源を活かした新たな施策が必要とされています。その中で、参加型の体験プログラムは非常に人気があることが、最近の調査から明らかになっています。観光の目的が視察から体験へと変化する中で、『エンタビ®』は現地の文化に触れるよい機会を提供します。
地域文化との融合
『エンタビ®』では、各地の歴史や伝説を基にしたオリジナルの脚本が用意されています。また、地元の人々が演者として参加することで、地域の文化が生き生きと表現され、観光客がその魅力を体感できます。観光施設でのイマーシブ体験が、訪れる人々に新しい発見と楽しさを提供し、地域経済の活性化にもつながることを目指しています。
例えば、奈良時代の歴史的な人物がどのように一日を過ごしたのかを知りながら、参加者がその役割を演じることで、単なる観光地訪問では味わえなかった特別な体験を得ることができます。観客が一緒になって物語を盛り上げ、楽しむ様子は、まるで一つの劇場内にいるかのような臨場感を生み出します。
今後の展開
全国的に導入されつつある『エンタビ®』ですが、今後は大型の児童施設や歴史文化施設などでも展開予定です。例えば、大阪や名古屋の商店街でも計画が進行中で、各地域の特色を活かした新たなストーリーが展開される予定です。
エンタビが目指すのは、観光客と地方の人々が一緒にコラボし、新たな物語を作り出すこと。観光による地域創生が長年の問題の解決に向けて革新をもたらす可能性を秘めています。
結論
プレイング株式会社の『エンタビ®』は、過疎化が進む地方の観光地を再生させる力を持っています。この取り組みを通じて、企業や地域の協力が生まれ、新たな観光文化が根付くことが期待されます。今後の展開に大いに期待したいところです。