VR対話の新可能性
2025-07-07 14:49:03

VR技術を活用した匿名対話が若者の心に変革をもたらす

「VR技術を活用した匿名対話が若者の心に変革をもたらす」



近年、精神疾患を抱える若者の支援方法として注目されているのが、バーチャルリアリティ(VR)を利用した対話方法です。この新しいアプローチは、見た目や先入観に影響されずに心の内を語ることを可能にし、心理的サポートの新たな手段を提供します。 一例として、横浜市立大学の研究チームは、NHKのドキュメンタリー「プロジェクトエイリアン」に参加した10代の若者3名を対象に、VR空間での交流が心理状態に与える影響を調査しました。

研究の背景


この研究は、2025年5月30日付で国際的なデジタルヘルス専門誌『JMIR Formative Research』に掲載されました。番組の利用者は、エイリアンのアバターを介して匿名で対話を行うことができ、外見による先入観から解放されることが大きな特長です。これにより、精神的な悩みを持つ若者に新たなつながりの機会が生まれます。

研究内容の詳細


対象者と手法
研究の対象は「プロジェクトエイリアン」に参加する精神疾患を持つ10代の若者3名です。調査は、参加登録時、VR体験前、そして体験後の3つの時点で行われました。その過程で主に孤独感、抑うつ、レジリエンスについての意識の変化を確認するために自己記入式質問票を用い、対話内容のテキスト分析を行いました。

心理指標の測定
調査手法として、孤独感を測る自記式尺度であるUCLA-LS3-J SF-3、レジリエンスを測るRS-14、抑うつ症状を測るPHQ-9を用い、それぞれのスコアを比較しました。主要な心理的指標の変化を評価し、参加者の心情の推移を可視化しました。

主な研究結果


分析の結果、全参加者においてレジリエンスが向上し、抑うつ症状が軽減される傾向が見られました。特に、レジリエンスのスコアは一名の参加者によって大きく改善され、また抑うつスコアも減少する結果が出ました。興味深いのは、孤独感が微増または変わらない中で、他者とのつながりを求める意欲が高まった点です。これは、参加者の対話からも明らかにされました。

感情表現の変化
VR空間のシーンが都市、宇宙船、月面と段階的に変わる中で、参加者の感情表現も変化しました。初めの興奮から始まり、次第に深い自己開示が行われ、未来への希望を語るところまで到達しました。これらの変化は、VRの特性が参加者に心理的安全を提供した結果と考えられます。

参加者の声


参加者からは、「同じような苦しみを持つ人がいることを知り、自分だけではないと気づけた」「自分を信じてみようと思えるようになった」といった感想が寄せられました。また、「変化を無理強いすることなく、挑戦し続けることが大切だ」との気づきもありました。

今後の展望


藤田純一医師によれば、この研究はVRを活用した治療効果が重要であることを示すものです。将来的には、より多くの事例を分析し、VRを介した匿名対話が精神疾患に対する偏見を解消する手助けになることが期待されています。また、脳波や音声解析等、新たなアプローチを取り入れた研究も進めたいと述べています。

最後に


このVRを通じた匿名対話は、精神疾患に苦しむ若者たちが新たな支援にアクセスする手段として、非常に重要な可能性を秘めています。未来には、より多くの若者がこのような支援手法に参加し、心の問題を軽やかに語れる社会が実現できればと願っています。


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