長野県宿泊業界の未来を切り開く新たな挑戦
長野県の白馬村にある有限会社ぴー坊は、創業38年を誇る家族経営のペンションです。三代目社長の大塚栄青が2021年にグランピングとサウナを組み合わせた事業に転換し、たった3年で売り上げを10倍にするという驚異的な成果を上げています。
経営者不在の危機
全国的に後継者不足が深刻な問題となっている中、長野県でも特に顕著です。帝国データバンクの調査によれば、長野県の企業で後継者がいない割合は54.1%にも達し、旅館やホテル経営者の約3割が事業承継の問題を抱えています。また、高齢化が進む中で、若者が都市部に流出しているため、地元経営者は非常に厳しい状況に直面しています。
これらの現状を受け、地域全体で旅館業の活性化に取り組むことがますます求められています。これに対抗するためには、労働環境の改善や収益性の向上が不可欠です。
新たな挑戦のきっかけ
大塚栄青は家業のペンションを受け継いだ後、新型コロナウイルスの影響で観光業が打撃を受ける中、「白馬村のために何かできることはないか」と考えました。友人たちとのキャンプで移動式サウナを体験したことがきっかけで、2021年には大きな投資を行い、「From P」という新しい施設を開設します。
この施設では、広大な敷地を利用し、グランピング設備とサウナを併設しています。近年の「サウナブーム」によって、サウナを楽しむ「サ活」や、全国各地のサウナを巡る「サ旅」が人気を集め、これが経営の礎となる要因となりました。特に、関東から訪れる20代後半から30代前半のカップルや家族連れに熱い支持を受けています。
地域の未来に向けた思い
当初、代表の大塚栄青は、旅館業の厳しさを認識しつつも、地域の魅力をより多くの人に伝えることができる仕事であると信じ、仲間と共に挑戦を続けていきます。彼は「白馬に戻りたいと思える場所にしたい」と語り、地元の経営者たちの思いを大切にしながら、この事業を成長させています。
そして、2023年4月20日には、7棟目となる新しいサウナ部屋がオープンします。この新施設では、宿泊専用のサウナが5棟、日帰り専用のサウナが2棟あり、宿泊者は日帰りサウナも利用可能です。観光業の将来を見据えた新たな挑戦が、白馬村の復活を支えることを期待しています。
会社概要
- - 会社名: 有限会社ぴー坊
- - 代表取締役: 大塚栄青
- - 所在地: 長野県北安曇郡白馬村北城3020-45
- - 事業内容: 宿泊業
- - 公式サイト: https://p-bow.com/
このように、長野県の宿泊業界の厳しい現状の中でも、新たな風を吹かせる試みが続いています。地域を支え、活気を取り戻すための活動に今後も注目が集まります。