中国の民間信仰に迫る！新たなフィールドワークの形が登場

こんにちは、イベント雑誌の記者です。今回は、12月10日発売の書籍『中国TikTok民俗学スマホからはじまる珍神探訪』を紹介します。この本は、現代のデジタルツールを駆使し、中国各地に存在する珍しい神々を探訪する新しい形のフィールドワーク術が描かれています。

著者である大谷亨氏は、中国民俗学に精通した研究者で、廈門大学で教鞭を執っています。本書では、彼が実際に訪れた場所や人々との出会いを通して、現代の中国で根強く息づく民間信仰の姿を浮き彫りにしています。特に注目すべきは、TikTokを活用した「お手軽フィールドワーク」としてのアプローチです。この新しいスタイルは、SNS時代において、どのようにして知識を得て、共有するかを再考させるものとなっています。

知られざる中国の珍神たち

この本では、奇怪な神々や信仰が入り混じる中国の民間信仰の景色が詳細に描かれています。著者は、中国各地を巡り、逆立ちする張五郎や九尾狐といった神々を追い求めたり、地域の人々との交流を通して民俗信仰の実態を探ります。読者は、著者と一緒に旅するかのように、魅惑的な体験を共有することができます。

本書には、180点を超えるフルカラーの写真が収められており、視覚的にも楽しむことができます。特に、現地の魅力的な祭りや風習が生き生きと伝わるような写真は、ページをめくる手が止まらないほどです。情報が豊富でありながらも、流れるような文章で綴られているため、誰にとっても読みやすくなっています。

フィールドワークの手引き

本書の大きな特徴は、フィールドワークの方法論を具体的に示している点です。「お手軽フィールドワークの鍵は中国版TikTokにあり」と題した章では、SNSを利用した情報収集の手法や、取材の基本装備について丁寧に解説されています。これにより、読者自身も手軽にフィールドワークを楽しむ手助けとなるでしょう。

特に若い世代にとって、この方法論は新しい冒険や発見の扉を開く手段となります。地域の文化に触れ、新たな神々の存在を感じることができるのは、現代ならではの体験かもしれません。

目次の一部を紹介

本書は、以下のような章立てがなされています。
1. 逆立ち張五郎を探せ！
2. 張五郎にチラつく鬼の形相
3. セクシー九尾狐に魅入られて
4. タイの神秘とセクシー九尾狐
5. 大黒天の逆輸入
6. お盆フェスの聖と俗
7. 闇に惹かれる人々、増殖する無常
8. 中原に花咲く無常信仰

このように多彩なテーマが盛り込まれた本書は、単なる観光ガイドやルポルタージュに留まらず、深い文化的背景を持つ内容となっています。特に中国という広大な国における多様な信仰体系が、いかにして変化し、現代に受け入れられているのかを知る貴重な機会となるでしょう。