タペストリー・インクが発表した成長戦略と財務計画の詳細

2025年9月10日、タペストリー・インクはニューヨークにてインベスター・デイを開催し、同社の成長戦略『Amplify』と長期的な財務目標を発表しました。この新たな計画は、タペストリー・インクが持続的で収益性の高い成長を実現し、株主への利益還元を加速させることを目指しています。特に、2027年度と2028年度の業績見通しは、1桁台半ばの増収、大幅な利益率の向上、そして希薄化後1株当たり利益の2桁台前半の成長が予想されています。

Amplify成長戦略の4つの柱

タペストリー・インクのCEO、ジョアン・クレヴォイセラ氏は、この成長戦略の基盤として次の4つの柱を紹介しました。

1. 消費者とのエモーショナルなつながりの構築：新たに市場に加わるZ世代の顧客をターゲットに、新規顧客を獲得し、ブランドへの愛着を高め、顧客の生涯価値を向上させる取り組みを推進します。

2. ファッションの革新と卓越性の向上：主にハンドバッグやレザー製品を中心に、フットウェアではターゲットを絞ったライフスタイル製品の拡大を図ることで、商品の革新性を高めます。

3. 魅力的なエクスペリエンスの提供：北米での成長を持続しつつ、中国及び欧州市場での勢いを活性化し、グローバルな成長を図ります。

4. 人材のパワーを最大化：顧客第一の文化を発展させ、柔軟で先を見越した姿勢を維持することで、未来の成長を確実にします。

財務目標と株主還元

タペストリー・インクは2028年度までに、累計で40億ドルの株主還元を計画しています。これは、2026年度から2028年度の3年間で作り出されるフリーキャッシュフローの100％に相当します。2026年度の1株当たり年間配当金は1.60ドルを予想しており、利益の伸びに応じて配当を増額し、配当性向を約30％に保つ計画です。

また、自社株買いについては、2026年度から2028年度までに約30億ドルを買い戻す計画を確認しました。新たに30億ドルの自己株式取得も承認され、この戦略が市場でのタペストリー・インクの強力な存在感を示しています。

長期的な業績見通しと期待

タペストリー・インクは、2027年度から2028年度にかけて各年度の収益は1桁台半ばの増収を見込んでいます。営業利益率は2025年度比で200ベーシスポイント以上の増加が予想されており、22％を超えることを目指しています。また、希薄化後1株当たり利益については、同年度の成長率は2桁台前半を見込んでいます。

特に、コーチブランドは、3カ年の計画の中で1桁台半ばの年平均成長率を達成し、営業利益率が30％台半ばに達する見込みです。ケイト・スペードに関しても、2027年度に売上高を戻し、2028年度には1桁台後半の営業利益率を実現するための施策が取られています。

タペストリー・インクは、持続的かつ収益性の高い成長を追求しながら、これからも株主への還元がしっかりと行えるよう努力していくことを明言しています。これにより、同社のブランド価値をさらに向上させていくことでしょう。

まとめ

タペストリー・インクの新たな成長戦略「Amplify」は、全体を通して消費者への価値提供に特化しており、特にこれからの世代を意識した製品と体験の提供を重視しています。投資家や株主にとっても、明確な利益還元計画が示されていることは安心材料となるでしょう。これからのタペストリー・インクの動向には、ますます注目が集まることが予想されます。