「Next Fashion Designer of Tokyo 2026」インクルーシブデザイン部門での未来を照らすワークショップ
2023年9月24日、東京都は次世代のファッションデザイナーを育成するため、「Next Fashion Designer of Tokyo 2026」(NFDT)内の「インクルーシブデザイン部門」に特化したワークショップを、新宿で開催しました。この取り組みは、障害のある方も楽しめる服作りを目指すもので、参加者には一次審査を通過した若手デザイナーたちが集まりました。
当日は、有名な障害者支援団体からの特別アドバイザー2名が参加し、彼らの経験や視点を通じて、学生デザイナーたちに新たなインスピレーションを提供しました。参加者たちは、自身のデザイン案を持参し、専門家からのフィードバックを受けながら、より良い作品づくりを模索しました。
障害当事者と学生が交わす実践的な議論
特別アドバイザーとして参加したのは、パラアイスホッケー銀メダリストである上原大祐氏と、一般社団法人mogmog engineの代表、加藤さくら氏です。上原氏はワークショップの中で、「インクルーシブデザインとは、障害のある人とない人のニーズを融合させ、すべての人が快適に過ごせるものづくりを目指すべきだ」と語りました。加藤氏も、障害を起点にデザインをすると、全ての人にとって優れた着心地の服が生まれると、その重要性を強調しました。
さらに、視覚障害を抱える参加者からは、「触ってわかりやすい工夫がほしい」や「もっとカラフルな服にも挑戦したい」といった意見が出され、学生たちがその声に真剣に耳を傾ける姿が印象的でした。また、車椅子を利用するユーザーからは、機能性を重視した具体的な要望として、「肩回りにストレッチ素材を使用してほしい」といった声があり、リアルなニーズを感じ取ることができました。
一歩進んだファッションのデザイン
学生たちは、これらのフィードバックを元に、自身のデザイン案を改善し、今後の二次審査に向けて新しいアイデアを磨いていくこととなります。本ワークショップは、単なる技術習得だけではなく、デザインプロセスそのものを見直し、参加者同士で意見を交わす貴重な機会となりました。
NFDTの理念と目標
「Next Fashion Designer of Tokyo」は、東京を国際的なファッションの拠点へと押し上げるために企画されたものです。このコンクールでは、従来の服飾学生だけでなく、アートやデジタル、映像制作など、幅広い分野からの応募を奨励しています。業界の第一線で活躍するデザイナーやバイヤーが審査に参加し、参加者たちにはプロの視点での助言を受けるチャンスが設けられています。
今後の展望
今年度のコンクールは、二次審査を経て、来る2026年3月に最終審査を行う予定です。受賞者には、プロモーションやブランディングの支援がされ、さらにはパリファッションウィークでの作品発表に向けたサポートも提供されます。このように、NFDTは単なるファッションコンクールに留まらず、未来のデザイナーを育てることに重きを置いています。
このワークショップを通じて、インクルーシブデザインの重要性が認識され、男女や年齢、障害の有無にかかわらず、すべての人が楽しめるファッションの発展が期待されます。学生たちの情熱と専門家の助言が融合することで、より良い未来のファッションが生まれることでしょう。