福祉とエンターテインメントが交錯する現場で、何が変わっているのでしょうか?一般社団法人フェアリーエンターテインメント(以下、フェアリー)は、東京都を拠点に、障がいの有無に関わらず、ダンスや表現活動を通じて新しい社会参加の形を探求しています。今回は、その具体的な取り組みを実践レポートとしてお届けします。
自らの意思を示す力の育成
フェアリーの活動では、参加者一人一人が自ら行動を起こすことができる環境が整えられています。初めは目を合わせたり声を出したりすることが難しかった参加者が、ダンスや身体表現を重ねる中で、自分の意思を徐々に動きで示すようになってきます。この変化は、専門的な指導や訓練によるものではなく、音楽や身体表現という存在が「否定されない居場所」を提供した結果です。参加者は、こうした環境で「自分を出しても大丈夫」と実感することができ、その結果、自発的に行動するようになっています。
きょうだい児の新たな表現の場
また、障がいのあるきょうだいを持つ「きょうだい児」にも注目しています。彼らは家庭や社会で「我慢する側」や「支える側」という役割を担うことが多く、心の中に秘めた本音を語る機会が少ないのが現実です。しかしフェアリーでは、きょうだい児も一人の表現者として舞台や活動に参加し、同じ立場で表現することが奨励されています。この取り組みにより、彼らがこれまで言葉にできなかった感情や思いを語り出す姿が見受けられます。
訪問型ダンスレッスンでの変化
さらに、障がい者施設との連携による訪問型ダンスレッスンも行われています。このプログラムでは、入所者や利用者、現場の職員が同じ空間でダンスを楽しむことが特徴的です。ダンスを始めると、職員と利用者の役割は一度解かれ、お互いが「支援する側・される側」といった主従関係を一時的に忘れて表現者として一体となります。周囲の動きを模倣したり、笑顔を交わしたりするシーンは、フラットなコミュニケーションの証です。
職員の声には、普段は「介護する側」としての関係が多い中、ダンスの時間だけは同じ立場で笑い合うことができたことへの感動が表れています。「言葉がなくても気持ちが通じる感覚があり、利用者の新しい表情を見ることができた」という体験は、職員の関わり方を見直すきっかけにもなっています。
エンタメと福祉の新たな提案
福祉とエンターテイメント、一見すると異なる分野にも思えますが、実はどちらも人が人として生きるための根源的な力を育むものです。フェアリーは、小さな変化が未来の社会参加や自己表現につながる重要な第一歩だと信じています。私たちの目指す社会は「支援される存在」ではなく、「社会の一部として関わる存在」へと変わることです。障がいの有無に関わらず、一人ひとりが自分の役割を見つけ、社会とつながり続けられる新しい福祉の形をこれからも提案していきます。
一般社団法人フェアリーエンターテイメントの概要
フェアリーの代表理事である吉川莉奈は、自身も重度障がいのある2人の姉を持つきょうだい児として育った経験を持っています。これを背景に、福祉の課題に真摯に向き合い、障がいの有無に関わらず表現を通して社会とつながる活動を行なっています。福祉とエンターテイメントが融合する新たな形を常に模索しながら、全ての人が持つ「表現する力」を育む場を提供し続けているのです。
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