119年の歴史をもつ缶メーカーが音楽で魅せる製造業の魅力
愛知県に本社を置く側島製罐株式会社は、創業119年という長い歴史を誇る老舗の缶メーカーです。この度、同社は工場から生まれる金属音や機械音を基にした楽曲を、工場音楽レーベル「INDUSTRIAL JP」と共同制作しました。2025年5月9日(金)の午前10時には、YouTube上でそのコンテンツが公開される予定です。
このプロジェクトでは、側島製罐の工場を舞台に、INDUSTRIAL JPが制作した音楽と映像が融合した作品が発表されます。普段私たちが目にすることのない缶製造の過程と、そこで真剣に働く職人たちが織りなす美しい音楽が視覚的に表現され、視聴者に強い印象を与えることでしょう。
「SOBAJIMA CAN」音楽動画はこちら
消えゆく機械音の価値
製造業において、工場はその核となる存在です。各社の高い技術力や製品の魅力には、長い歴史や物語が詰まっています。しかし、昨今の日本の製造業は深刻な人手不足に悩まされており、就業者数はピーク時の27.6%から現在の15.6%まで減少しています(出典: 総務省統計局)。特に中小企業では、古い慣習や雰囲気がデメリットとして働き、若者を惹きつけにくい状況が続いています。
側島製罐も、過去20年で社員数が半分以下に減少しています。地元愛知県では、高校の有効求人倍率が20倍を超えるなど、次世代の担い手を見つけることが困難になっています。事業を継続するためには、この厳しい現状を打破する必要があるのです。
製造業のクールさを伝えたい
側島製罐の目指すところは、缶作りの中小企業がただの下請けではなく、ものづくりの文化や技術を世に伝え、製造業が「かっこいい職業」として再評価されることです。そのために、彼らは様々な挑戦を行ってきました。例えば、過去には「ドローンによるバーチャル工場見学」や「オフィスの大規模改装」など、製造業のイメージを刷新する取り組みが行われています。
今回の音楽プロジェクトにより、側島製罐が築いてきた熟練の職人技と古き良き工場の美しさが表現され、缶製品の魅力が再発見されると共に、製造業の潜在的な可能性が新たな視点で伝わることを願っています。
音楽制作の思い
「CAN推進課ミュージック担当」のR氏は、このプロジェクトの背景にある思いを語ります。「古くからのアナログ機械を活用して新しい時代を切り開きたい。そして、我々の取り組みを多くの人に知ってもらい、製造現場の音や視覚情報を発信していくことで、業務の尊さを再認識して欲しい」とコメントしています。
また、代表取締役の石川貴也氏は、「私たちは『世界にcanを』をミッションに掲げ、そこには缶作り以上の可能性を広げていくことが含まれています」と述べています。彼らの技術や文化を活かし、少しでも世の中にワクワクとした驚きを提供できればと願っています。
会社情報
側島製罐株式会社は、愛知県海部郡大治町に所在し、一般缶の製造や販売、プレス加工を行っています。企業理念は「世界にcanを」と「宝物を託される人になろう」です。経営者である石川貴也氏のもと、1906年に創業され、1942年には法人設立を果たしました。その挑戦は今も続いています。
INDUSTRIAL JPとは
INDUSTRIAL JPは、高い技術力をもつ町工場とクリエイターがタッグを組み、生み出される工場音楽レーベルです。彼らは2016年に設立され、町工場の素晴らしい技術を次の世代へとつないでいくことを目指しています。その取り組みは、国内外で評価を得るなど注目されています。