新たな創作ユニット、Studio Wの旗揚げ公演
ウォーリー木下と和田俊輔が手を組み、創作ユニット「Studio W」を立ち上げました。このユニットの目指すところは、従来の枠にとらわれない新しいミュージカルの形を創造すること。5月15日から17日まで、CBGKシブゲキ!!にて開催された旗揚げ公演『時計のこども Child of Time』は、まさにその第一歩として位置付けられています。
演出と物語の独創性
公演のスタイルは、ブロードウェイのワークショップに似たもの。演出家で劇作家のウォーリーと音楽家の和田が、観客に大まかな物語と主要な楽曲を披露しました。セットはシンプルながら幻想的で、時計の針の動きを思わせるデザインが施され、観客を物語の世界へと引き込む役割を果たします。/
『時計のこども』は、音楽を通じて展開される「調子っぱずれの時計のこども」の物語。物語の中心にいるのは、斎藤瑠希が演じるチク。彼は時間を正確に刻むことができず、じっとしていることも苦手な時計の子。そんなチクの親友、橋本祥平が演じるタクは、立派な時計になる夢を持っています。新良エツ子の演じるメロは音楽教師であり、「メロロノーム」と呼ばれる存在。お互いに影響を与え合いながら成長していく彼らの姿が描かれます。
事故が引き起こす事件
物語は、音楽コンクールの日にタクの行動が引き金となる悲劇的な出来事を迎えることで、緊張感が高まります。チクは生死の境をさまよい、宇宙や時間、音楽に関する深いテーマが織り交ぜられ、観客に考えさせる余力を与えています。事故や犯罪、さらには多様性社会についての問題も随所に反映されており、非常に豊かなストーリー展開がなされます。
音楽の重要性
和田は音楽や歌詞だけでなく、物語全体を作り上げる過程にも深く関与しており、キャッチボールのような創作が行われました。楽曲は日本語オリジナルで、感情や状況を詩的に表現しており、聴く者の心に響きます。歌詞とメロディーが一体となり、観客をより一層物語に引き込む要素となっています。
演技と演出の調和
キャスト陣は、さまざまな感情を込めた演技を披露し、シンプルながら心に残る演出が施されています。シャボン玉やライトの使い方も巧みで、美しい舞台空間を創造しました。ワークショップ公演であったにもかかわらず、一つの舞台として十分に価値のある60分が展開されたのです。
観客との対話
公演の後には、ウォーリーと和田によるアフタートークが行われ、観客との質疑応答を通して彼らの気づきや考えを共有しました。このトークから、今後の作品に登場人物や楽曲が増える可能性があり、テーマに焦点を当てることも示唆されました。また、彼らが創作プロセスを楽んでいる様子も印象的でした。
今後の展開
日本オリジナルのミュージカルを育てていくことは、今後の文化においてますます重要になるでしょう。ウォーリーと和田が挑戦するこの試みが、さらなる進化を遂げることに期待が寄せられています。また、観客との共創を重視する姿勢が、新たな楽しみを提供してくれることでしょう。
取材・文=町田麻子