イタリアの映画の殿堂であるローマのチネチッタで、去る12月4日、著名なファッションブランド「ブルネロ・クチネリ」の創業者、ブルネロ・クチネリを題材にしたドキュメンタリー映画のワールドプレミアが華々しく開催されました。この映画は『Brunello: il visionario garbato』(英語版タイトル:『Brunello: the Gracious Visionary』)というタイトルで、著名な映画監督ジュゼッペ・トルナトーレが手掛けた作品です。
チネチッタは、1937年に設立され、フェデリコ・フェリーニやセルジオ・レオーネといった伝説的な監督たちの作品を生み出してきた歴史ある映画スタジオです。今回のプレミアは、新スタジオ「テアトロ22」のこけら落としともなりました。このスタジオは、ヨーロッパ最大の規模を誇り、高さ25メートルという壮大さにより、映画製作の新たな時代を感じさせます。
『Brunello: il visionario garbato』は、ブルネロ・クチネリが持つ独自の哲学やビジョンを描写したドキュメンタリーで構成されています。彼の幼少期から、彼が創り上げたブランドの成長過程、さらには人間性に至るまで、様々な映像や証言を基にした物語が展開されます。本作は、農村の暮らしからスタートし、彼が直面した挑戦や成功、そして彼の人生における信念がどのように形成されてきたのかを物語ります。
ブルネロ・クチネリは、自己を貫く哲学を持つ実業家として知られています。彼の身の回りには、愛する家族や地域社会が大切にされており、映画ではこういった人間的な側面にもしっかりと焦点が当てられています。ブルネロ自身は、成長過程で培った夢が彼の人生に与えた影響を語り、観客に勇気を与えるメッセージが込められています。
映画の最後では、勇気と共に育まれた夢がどのように人の運命を導くのか、というメッセージが強く響きます。このバランスの取れた人生観こそが、ブルネロ・クチネリの成功の秘訣ともいえるでしょう。
本作は、ブルネロ・クチネリ S.p.A. と MasiFilmがRAI Cinemaと共同制作したもので、ワールドプレミアの後には、イタリア国内の映画館で特別上映が行われています。日本での公開は2026年秋を予定しています。
映画には、ブルネロ役としてサウル・ナンニ、幼少期のブルネロ役にはフランチェスコ・カンネヴァーレが起用されており、彼の家族を演じるキャストたちが彼の物語を鮮やかに彩ります。音楽はニコラ・ピオヴァーニが担当し、映画の深みと感動をさらに引き立てています。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督は、映画制作において数々の名作を生み出してきた監督としても知られ、その作品群は観客に高く評価されています。『Brunello: the Gracious Visionary』もその例に漏れず、多くの人々の心に残る作品となることは間違いないでしょう。映画を通じて、ブルネロ・クチネリの人生と哲学に触れ、そのエッセンスを感じることができる貴重な体験をご堪能ください。
これまで知らなかった彼の魅力や、彼が生かした成功哲学、その根底にある人間的な優しさが映し出される本作、ぜひご覧いただきたい一作です。