機能を進化させた鉄道模型の新システム
2025年10月、東京ビッグサイトで開催される第63回全日本模型ホビーショーにおいて、立命館大学と株式会社トミーテックが共同開発した新しい無線給電システムが初めて公開されます。このシステムの正式名は「レール周辺空間無線給電システム」で、特許出願中の技術です。質の高い鉄道模型の楽しみを提供することを目的に、新たな試みとして注目を集めています。
無線給電システムの背景
鉄道模型の世界では、特に車両の室内照明を簡単に取り付けて夜間運転を楽しむことが一般的です。しかし、建物にLED照明を取り付けるための電源供給は、複雑な配線処理が求められ、初めて模型に触れる人々にとっては高い参入障壁となっていました。これに対し、トミーテックでは立命館大学の道関教授の研究グループと共に、無線給電技術を用いる新たなシステムを開発しました。この技術によって、面倒な配線が不要になり、誰でも簡単に夜間の雰囲気を楽しむことができるようになります。
システムの仕組み
新システムでは、走行用レールを通じて流れる直流電流に影響を与えない高周波信号を使って無線給電を行います。専用の送電装置からレールに流される高周波が周囲の建物に磁界を作り出し、そこに設置されたLEDとコイルが電磁誘導によって点灯します。これにより、建物をレールの近くに置くだけで電源なしで光ることが可能になります。試作機は約1ワットの電力を送信する設計で、送信周波数は13.56MHz帯が使用されています。この技術は、走行レールの長さや接続方法によって最適化がされ、効率的な電力供給が実現されています。
将来的な展望
この革新的な無線給電システムは、鉄道模型における電力供給の新たなスタンダードとして、将来的に多方面での応用が期待されています。今後、建物の照明にとどまらず、バスや自動車などの小型模型のモーター制御や、信号機、街灯などの点灯といったシステムにも利用できる可能性を秘めています。製品化に際しては、さらなる安全性の確認が必要で、具体的な発売時期については未定ですが、鉄道模型の楽しみを飛躍的に広げることが期待されています。
第63回全日本模型ホビーショーの概要
開催日程は2025年10月18日(土)9:30~17:30、19日(日)9:30~16:30です。会場は東京ビッグサイトの南3・4ホールで、鉄道模型に関心のあるファンや企業にとって、見逃せないイベントとなることでしょう。詳細は特設サイトで確認できます。
トミックスブランドについて
トミーテックが展開する鉄道模型ブランド「トミックス」は、1976年に販売を開始以来、「誰もが簡単に」鉄道模型の世界を楽しむことを目指しています。次の2026年には50周年を迎えるこのブランドは、50周年に向けた新たな研究や試作を、本展示会で披露します。鉄道模型文化の進化をぜひ体験してください。
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