WOOLRICHと腰塚光晃の北極圏探訪
アメリカの老舗アウトドアブランド、WOOLRICHが誇る代表作、ARCTIC PARKAの魅力を光に変えたのが写真家・腰塚光晃氏です。彼は近年、地球温暖化が進行する北極圏を訪れ、その壮大な自然と接することで貴重な記録を残しました。今回は、その撮影プロジェクトの様子を深掘りしていきます。
温暖化に立ち向かう写真家
腰塚氏はファッションから広告、アートの分野まで、幅広く活躍している写真家です。彼は「本来、人が知るべき大切なことを写真で伝える」という思想のもと、特に北極圏の自然環境について強い関心を寄せています。北極での温暖化が中緯度地域の3〜4倍の速さで進行している中、世界中で異常気象や水害が頻発しています。
2023年、北極海の海氷が2030年代には消失する可能性があるという報告に触発されて、腰塚氏は「消えゆく氷を撮る」という決意のもと、グリーンランドへと旅立ちました。
極寒の地での撮影
撮影地に選ばれたのは、グリーンランド・イルリサットのヤコブスハブン氷河。そこは北半球で最も活動的な氷河の一つです。腰塚氏はWOOLRICHの象徴でもあるARCTIC PARKAを身にまとい、厳しい自然環境に挑みます。
撮影の際、夕暮れ時の寒さや暗闇の岩場を進む状況でも、ARCTIC PARKAは彼を冷気から守り、その機能性に感謝したと腰塚氏は語ります。「寒さを感じたのは顔だけだった」と、その装備の重要性を実感しました。
幻想的な夕陽と先人の記憶
撮影を終え、帰国を前にした夕方、空は赤く染まり幻想的な光景が広がります。ネイビーブルーの雲と連なる水平線、夕陽が照らす氷山は美しいコントラストを生み出しました。また、この地には19世紀末から20世紀初頭のイヌイット古墓地もあり、先人たちの静かな存在感を感じながら下山した腰塚氏の心に、強いメッセージが残りました。
アイスランドの風景が示す未来
その後のアイスランド訪問では、かつての氷床が溶け、大地が姿を現した風景を目の当たりにします。腰塚氏はそれをグリーンランドの未来と重ね合わせ、次のように述べました。「人類は過去のライフスタイルに多くの答えを持っている。頂点を目指すのではなく、自然を尊重し穏やかに生活することが真の豊かさではないか」と。
WOOLRICHは厳しい自然環境下で生きる人々をサポートするために生まれたブランド。ARCTIC PARKAをまとい、北極圏の自然に直面した腰塚氏の視線は、ブランドの精神と未来へのメッセージを伝えています。