Spiberとボット・ジュゼッペのパートナーシップ
日本のバイオテクノロジー企業Spiberは、イタリアの高級紡績大手ボット・ジュゼッペ(Botto Giuseppe)社との戦略的なパートナーシップを締結しました。この提携により、両社は高品質な糸の製造を通じて、ファッション業界に新たな可能性をもたらしています。
高品質な素材の共同開発
ボット・ジュゼッペ社は、ウールやカシミヤなどの天然繊維を使用した糸の製造で知られています。一方、Spiberは独自の発酵技術を利用して植物由来の原料からBrewed Protein™ファイバーを生み出しています。この技術により、従来の素材と比べて環境への影響を大幅に軽減することが可能です。
2023年より協業を始めた両社は、Brewed Protein™ファイバーを含んだ製品の開発を進めており、カシミヤとBrewed Protein™ファイバーを20%から50%混紡した糸や、Brewed Protein™ファイバー100%の梳毛糸など、汎用性の高い素材を市場に投入しています。特に、Brewed Protein™ファイバー100%の糸の開発はヨーロッパで初となり、その技術的な革新性は業界内で注目されています。
ファッションの新たな可能性
これらの糸は、多岐にわたる用途に利用可能で、シャツやスーツ、ジャージー素材など様々なアイテムに仕立てることができます。ボット・ジュゼッペ社を通じての販売も既にスタートしており、ファッションブランドに新しい選択肢を提供しています。
ボット・ジュゼッペのCEO、シルビオ・ボット・ポアラ氏は「この高度な技術を駆使した繊維が新たなコラボレーションの第一歩となることを非常に嬉しく思います。これは我々のサステナビリティへの取り組みにおける重要なマイルストーンです」と語っています。
イタリア・フィレンツェの展示会
さらに、2025年1月28日から30日までイタリア・フィレンツェで開催されるPitti Filatiにおいて、Brewed Protein™ファイバー100%を使用したポロシャツが展示される予定です。この生地はBrewed Protein™ファイバー特有の上品な風合いと製造技術の融合による独自の質感を兼ね備えています。
今後の展望
Spiberとボット・ジュゼッペ社は、今後もBrewed Protein™ファイバーを使ったより細番手の糸の開発を進め、顧客のニーズに応じたカスタマイズも推進していく方針です。これにより、ファッション業界における持続可能性を高め、環境への負荷を低減することが期待されます。
ボット・ジュゼッペ社の企業情報
ボット・ジュゼッペ社は1876年に設立され、イタリアのビエラ地区で長い歴史を持つ企業です。現在は一族の4代目が事業を展開し、各国にまたがる顧客のために高品質な糸と生地を提供しています。
独自のNaturalis Fibraコレクションでは、特別な糸や生地を展開し、環境負荷の低減を重視した製品づくりに取り組んでいます。
今後もSpiberとボット・ジュゼッペのパートナーシップがもたらす革新に期待が寄せられています。持続可能な未来に向けた新しいファッションの形が、私たちの目の前に現れる日も近いでしょう。