ロードトリップ映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』Blu-ray発売決定

映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』Blu-ray発売のお知らせ

観る者を夢の世界へ誘う、感動的なロードトリップ映画『テイク・ミー・サムウェア・ナイス』のBlu-rayが2026年4月8日（水）に発売されることが決まった。本作は、アルマという少女の成長物語を描いた作品で、特に思春期特有の複雑な感情をつづる。

この映画は、ボスニア生まれでオランダ育ちのエナ・センディヤレヴィッチによる長編デビュー作で、影響を受けたと言われるジム・ジャームッシュの『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のエッセンスを色濃く反映させている。登場するのは男女3人のキャラクターで、静かでミニマルな演出が特徴だ。その中で描かれるのは、アイデンティティの不確かさを抱える主人公の「自分探し」という普遍的なテーマである。

世界的に高く評価された本作は、ロッテルダム国際映画祭のコンペティション部門でタイガーアワードを受賞し、観客の心をつかんで離さない。特に、アルマが着用するベロアのワンピース、パステル調の美術デザイン、そして美しいが少し荒涼とした風景を映し出す撮影など、視覚的にも印象深い要素が揃っている。さらに、エラ・ファン・デル・ワウデによる音楽もローファイで夢のような雰囲気を加えており、挿入曲にはソニック・ユースの「Kool Thing」が巧みに使われている。

映画の舞台となるストーリーは、アルマという少女が自分の過去と向き合う旅を描いている。アルマはオランダで育ったボスニア出身の女性で、病に倒れた父に会うためにボスニアに戻ることになる。しかし、彼女を迎えた従兄弟のエミールは冷たく接し、親友のデニスは下心を持って近づいてくる。アルマは、母が買ってくれたワンピース一枚で街を彷徨い、自身のアイデンティティや家族との関係に戸惑いながらも、少しずつ成長していく姿が描かれている。

本作は、さまざまな映画祭で受賞歴がある。第48回ロッテルダム国際映画祭でタイガーアワードをはじめ、2019年のサラエボ映画祭ではハートオブサラエボ賞、さらに第21回ソウル国際女性映画祭では最優秀映画賞を受賞するなど、国内外でその価値が認められた作品である。

映画レビューでは、「ソフィア・コッポラの初期作を彷彿とさせながらも、知性や距離感が感じられる」との記載があり、アルマの旅路は「オフビートな風景の中で静けさが際立つ」との評価も受けている。視聴者にとって、少し不機嫌な夏休みを過ごすような気持ちになるべくも、どこか心に残る体験を提供してくれる。