映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』は、株式会社ワンダーラボラトリーが製作した作品で、2024年9月を予定しています。この映画は、主演に人気俳優の吉沢亮を迎え、監督には呉美保が指揮を取っています。新たな試みとして、非劇場上映(市民上映会)による広がりを見せており、全国各地で多くの地域が参加しています。
この非劇場上映は、劇場公開終了後に聴覚障害者協会を中心に実施され、各都道府県で上映会を行う運動が盛んになっています。特に、聴覚障害者協会にとって、この取り組みは、ろう者や手話に対する理解を深めてもらう重要な活動の一環です。また、同時に11月に開催される「デフリンピック2025」の周知にも役立てられています。
長崎、群馬、宮城などでは、地元住民が主体となって上映会を開催し、地域の活動が活発化しています。この取組の一例として、沖縄・久米島では、教育委員会や社会福祉協議会、商工会など多くの団体が協力し、上映会を実施。そのチケット売上の一部は赤い羽根共同募金に寄付され、地域貢献にも寄与しています。
上映会は今年の2月に三重県津市で始まり、すでに数多くの地域に広がっています。上映を通じて「誰もが安心して暮らせる社会へ」を目指すという理念が主催者たちの心に広がり、地域から地域へと活動が拡がっていく様子が伺えます。全国にはすでに3,000組以上の主催者ネットワークが存在し、彼らが協力し合って非劇場上映を推進しています。
ワンダーラボラトリーは、社会課題をテーマにした映画の製作に力を注いでおり、特に認知症や在宅医療に関するプロジェクトに積極的に取り組んでいます。過去には映画『オレンジ・ランプ』をはじめ、複数の作品で多くの観客を動員しています。例えば、診断や理解の促進を目指した『ケアニン〜あなたでよかった〜』や『ピア〜まちをつなぐもの〜』は、累計で40万人以上の動員を達成しました。
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』に関しては、監督の呉美保が9年ぶりにメガホンを取り、作家五十嵐大による自伝機的エッセイを基にした感動的な物語が展開されます。主人公は、聴覚を持たない親を持つ子供(コーダ)として、きこえる世界ときこえない世界を浮き彫りにしながら成長する姿が描かれます。共演には、ろう者俳優の忍足亜希子が母親役で参加しており、作品への深みを加えています。
この作品を通じて、私たちが目指すのは、多様性を受け入れ共存できる社会の実現です。視覚や聴覚の壁を超え、あらゆる人が心を通わせることができる場を提供するために、今後も上映の輪を広げていくことが期待されています。各地の上映会については、公式サイトやワンダーラボラトリーの連絡先を通じて問い合わせが可能です。