現代サーカスの新たな挑戦『トゥ・ルート・ディレクトリ』
2025年8月22日から24日まで、東京都世田谷区のシアタートラムで、現代サーカスカンパニーRoom Kids(ルームキッズ)の最新作『トゥ・ルート・ディレクトリ』が上演される。この作品は、SNSが引き起こす「分断」に対抗する形で、「連続性」を強調し、新たな視点を提案するものだ。昨今の社会情勢が生み出す相対化された意見の中で、Room Kidsはサーカスを通じて解決策を探求する。
身体表現とメディアアートの融合
『トゥ・ルート・ディレクトリ』では、ジャグリングという遊びを媒介にしながら、映像と日常品(レトロな扇風機など)を用いた複雑な身体表現に挑む。これにより、異なる視点や境界を越えた新しい体験を観客に提供する。Room Kidsは、単なるパフォーマンスに留まらず、リアルとデジタル、感情とデータの複層的な関係性を探る舞台に仕上げている。
現代サーカスの新しい理解
サーカスと聞くと、多くの人は華やかなショーや超人的な技を思い浮かべるだろう。しかし、この作品が描くのは、フランスをはじめとしたヨーロッパの現代サーカスの流れ。Room Kidsは、ただの技の展示ではなく、感情や思想を道具として扱い、舞台芸術や現代美術と融合させた新しい形を実現している。
抽象と具体の接点
メインパフォーマー岡本晃樹は、ジャグリングの道具として用いるボールやリングと、日常品である扇風機やカメラを同様に扱うことで、観客に「身体」が持つ多層性を感じさせる。この作品では、現実と虚構、実体と映像が交差し、「これはどこまでが何か?」という問いが生まれる空間を形成している。
10周年の集大成とその挑戦
本作は、Room Kidsの設立10周年を祝うものであり、これまでの集大成と位置付けられている。Edinburgh Fringeで受賞歴もあるこのカンパニーは、世田谷区や世田谷パブリックシアターの後援のもと、大規模な公演に挑戦する。さらには、舞台美術のための資金をクラウドファンディングで調達し、170%という驚異的な達成を果たしている。
現代サーカスを広めるための取り組み
新たな観客を巻き込むため、アーツカウンシル東京の助成金を受けて医師常駐のシステムを整備し、視覚・聴覚支援の調整を行っている。また、初心者向けのサポート体制や公演後のアフターイベントも計画中で、観ることに対する不安を取り除くアプローチを採用している。すべての人に“観る”体験を届けることが、舞台のテーマと深く響き合っている。
観客の声を大切にするキャンペーン
7月11日より、Room Kidsは過去作品を観た観客の声を募った「観た人の声」キャンペーンを開始している。観劇経験のない人にも魅力を伝えるため、実際の観客の言葉で作品の価値を紐解いており、「使う光に、懐かしさを感じる」「気づけば気づけなかったモノとの対話の仕方を教えてくれる」といった声が寄せられている。
公演情報
- - 作品名: Room Kids『トゥ・ルート・ディレクトリ』
- - 日程: 2025年8月22日(金)〜8月24日(日)
- - 会場: シアタートラム(東京都世田谷区太子堂4-1-1 キャロットタワー1F)
- - チケット発売: 2025年5月18日より販売開始(こちらから)
多様な表現を通じて社会に響く現代サーカスの新たな挑戦『トゥ・ルート・ディレクトリ』をお見逃しなく!