日本の伝統文化が息づく国立文楽劇場では、22年2月に特別なイベントが開催されます。その名も「浪曲名人会」。これは1985年から続く、公演の歴史を持つ催しであり、浪曲界の著名な浪曲師たちが一堂に会し、さまざまな演目を披露します。
出演者には、浪曲界の重鎮たちが名を連ねています。その中でも、特に注目なのは昨年、人間国宝に認定された京山幸枝若です。彼女は浪曲を身近に感じてもらうため、「わかりやすく」「面白く」というモットーで挑んでいます。今回は、彼女の長講『尾張大八』を通じて、笑いの要素も交えた、親しみやすい演目が楽しめることでしょう。
幕開きは春野恵子による『大高源吾笹売りの條』。この演目では、江戸時代の赤穂事件を背景に、雪の両国橋でのドラマが描かれます。彼女はジャンルを超えたコラボレーションで幅広い活躍を見せており、その魅力に引き込まれる人は多いでしょう。
また、演歌と浪曲の融合を目指す真山一郎も必見です。『瞼の母』を題材にした彼の口演は、感動的でありながら、心に残るドラマを届けてくれます。映画や歌謡曲でも取り上げられた作品だけに、多くの人にとって馴染みのあるストーリーが劇場でどのように表現されるのか、楽しみですね。
続いて、名古屋を拠点に活動する天中軒雲月が登場します。彼は現在、日本浪曲協会の会長として浪曲界の発展に尽力しており、『男一匹天野屋利兵衛』で赤穂義士外伝の物語を見事に表現します。拷問に耐えて義を貫く商人の姿は、感動を呼ぶことでしょう。
そして、女流浪曲の先駆者、三原佐知子が三年ぶりに登場します。彼女が歌い上げる『異国の母』では、国や血縁を超えた母子の絆が描かれ、聴く人の心を打つこと間違いありません。
このように、浪曲名人会は多彩な演目と魅力的な演者の饗宴です。国立文楽劇場の開場40周年を記念するこの特別な公演を、ぜひお見逃しなく。観客の方々にとって、浪曲の奥深い世界を堪能する貴重な機会となるでしょう。
公演は2025年2月22日午後1時に始まり、約3時間の大ボリュームで進行します。料金は4,200円(学生は2,900円)で、予約は電話とインターネットから可能です。ぜひこの機会に、伝統芸能である浪曲の魅力を体感してみてください。