文楽劇場で初演を迎える『まちの灯』
国立文楽劇場が主催する「Bunraku Summer Festival」が、2023年7月18日から8月9日まで開催される。信じられないことに、チャールズ・チャップリンの名作映画『街の灯』を原作とした新作文楽『まちの灯』が、このイベントの目玉として世界初演を果たす。これに関連して行われた取材会には、制作に携わる関係者が一堂に会し、彼らの意気込みと経験を語った。
作品の背後にある思い
主催者である公益財団法人文楽協会の田端事務局長から、公演の趣旨と『まちの灯』製作に至る経緯が説明された。大野裕之が脚本・演出を手掛け、豊竹若太夫が義太夫と浄瑠璃化を担当、桐竹勘十郎が人形監修と与次郎役を演じ、さらに鶴澤友之助が音楽の作曲を担当する。
大野裕之は、チャップリンの作品が文楽に添えられることへの嬉しさを語り、長年の憧れが実現したと感慨深く述べた。また、戦前に歌舞伎として上演された際の影響にも触れ、完全にチャップリンであり、かつ文楽としての姿を追求する姿勢を貫いている。
脚本と演出の醍醐味
豊竹若太夫は、当初のコメディや悲哀の枠にとどまらない『まちの灯』の深さに着目し、その核心には無償の愛が存在していることを強調。「知らない方にもわかりやすく」との思いから、心に響く表現を大切にしていくと語った。彼はこの作品が文楽ファンの増加につながることを強く信じている。
充実した演出で挑む
桐竹勘十郎は、子供の頃のチャップリン体験を振り返り、自身の成長に繋がったシーンについて語った。彼は新作文楽『まちの灯』が持つ可能性への期待と、不安感とのバランスを楽しみながら、主役の与次郎やその他のキャラクターにどう取り組むか真剣に考慮している。また、彼自身の成長を促したチャップリン作品が、今度は文楽として新たな命を持つことへの興奮を感じている。
音楽の融合
鶴澤友之助は、西洋音楽から文楽の世界に転身した自身の経歴を振り返り、初めの頃のギャップを語った。彼の作曲においては、チャップリンのオリジナル音楽の影響を感じつつも、義太夫の伝統を重視した旋律を選び、多くの人に楽しんでもらえるよう心がけて工夫している。
公演スケジュール
本公演は、7月18日から始まり、8月9日までの期間中に行われる。主な演目には『寿柱立万歳』と『まちの灯』が含まれ、午後6時開演の午後8時25分終演予定である。特に7月23日と31日は休演日になるため、訪れる際には要注意だ。
チケット情報
チケットは全席均一価格で、一般は6000円、学生は4200円。障害者割引も用意されていて、インターネットでの予約も可能。興味のある方は必見のこのイベントに、どうぞ足をお運びいただきたい。
詳細な情報は国立劇場の公式サイトで確認することができる。新たな文楽の世界を味わいに、ぜひ劇場へ足を運んでみてほしい。