バレエ界の 衝撃を映すドキュメンタリー
豪華な舞台裏のリアル
プロバレエ団の裏側に迫る禁断のドキュメンタリー『崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった』が、発売と同時に話題を呼び重版が決定しました。著者は、ディレクターの渡邊永人。彼は自身の視点で、バレエ業界の過酷な現実を映し出します。
バレエ団の中には、家賃がわずか6万円のワンルームで暮らす新人バレリーナが存在し、お金の面で苦労しています。トウシューズを購入するのもままならず、週5でアルバイトをすることが日常となっているのです。また、芸術監督が「給料制は無理なのか?」と告白する、プロバレエ団におけるタブーにも迫ります。このような過酷な状況が、バレエ団の生々しい実態を映し出しています。
75年の伝統を揺るがす宣告
「禁断密着プロバレエ団」と名付けられたこのYouTubeシリーズは、2023年6月に開始されました。プロバレエ団という夢の舞台にいちはやく飛び込んだこの密着取材は、一般の視聴者にも衝撃を与えました。「こんな世界だとは知らなかった」や「バレエに興味がなかったが、次の舞台を観に行こうと思った」という声が次々に寄せられ、バレエファン以外にも広がりを見せています。
新春公演『白鳥の湖』では、バレエ初体験の観客が全国から集まり、会場は熱気に包まれました。密着取材を始めて1年が経つ時点で、2024年6月の公演チケットはなんと4時間で完売。この出来事は、バレエ界の既成概念を覆す起死回生の挑戦とも言えます。
高まる関心と感謝の声
書籍やYouTubeの内容を通じた表現は、バレエ界に新しい風を吹き込んでいます。著者の渡邊は読者へ感謝の意を込め、「本を通じて多くの方にバレエ団の実情を届けられたことが嬉しい」とコメントしました。重版分からの印税も谷桃子バレエ団へ寄付されるため、読者にはその応援の意味も込めて手に取ってほしいと願っています。
各界の反響
この作品に対する各界のコメントも寄せられています。『ハイパーハードボイルドグルメリポート』の企画・制作を手掛ける上出遼平は、気弱な人間がカメラを持つことで変わる姿を描写。また、NHK「おかあさんといっしょ」で「うたのおねえさん」を務めた小野あつこからも、書評が寄せられています。彼女は、密着取材の初期にはバレエに無関心だったが、その後の感情や想いを作品を通じて理解するようになったと伝えています。
おわりに
著者紹介の通り、渡邊永人は神奈川県出身で、20歳で制作会社に入り、様々な番組に関与してきました。多くの視聴者に愛されるドキュメンタリーを手掛けてきた彼が、谷桃子バレエ団という舞台に密着できたことは偶然ではなく、必然の所産でしょう。
この本は、リアルな舞台裏を知ることができる貴重な作品です。バレエの知識がなくても十分に楽しむことができ、誰にでも通じるエンタメ性をもっています。最後に、進化を続ける日本のバレエ団に、今後も大いに期待したいところです。