国内外での成長を加速するOTBグループ
OTBグループは、2024年度通期の決算を発表しました。市場環境が急変する中でも、日本や北米といった戦略的地域の成長によって、好業績を維持しています。特に、メゾン マルジェラとディーゼルの売上が過去最高を記録したことが大きな要因です。
2024年の業績概要
2024年度の総売上高は18億ユーロに達しましたが、恒常為替レートで見ると2023年比で4.4%の減少となりました。純売上高は17億ユーロで、卸売りチャネルが景気の影響を受けるなか、直販チャネルの成長が目立ちます。グループのEBITDAは2億7,600万ユーロ、EBITは4,400万ユーロとなっており、全体としてはまずまずの結果を残しました。
直販チャネルの堅調な成長
特に注目すべきは、直販チャネルの成長です。2023年比で7.4%の増収を実現し、現在は直営店舗数608店舗に達しました。61店舗の新規開店が寄与したことで、既存店舗の売上も増加しています。この成長は、OTBが行った長期的な投資戦略とリテールエクセレンス・プロジェクトの成果と考えられます。
日本市場では売上が16.3%増、北米では13.3%増という記録を打ち立てており、特に日本はグループ全体の売上の26%を占める重要な市場です。こうした成績は、OTBの戦略が正しい方向に進んでいることを示しています。
新規市場への進出
OTBグループは、成長が見込まれる新たな市場への進出にも注力しています。中東では、ラグジュアリー販売企業シャルー グループとのジョイントベンチャーを発表し、さらにメキシコ市場にも進出する計画を立てています。2025年には、15店舗の開業を皮切りに、約50店舗の新規オープンを予定しています。
ブランド別の業績
メゾン マルジェラ
メゾン マルジェラは、2024年も好調な業績を維持し、前年より4.6%の増収を記録しました。革新的なデザインが評価され、オートクチュールのコレクションは世界中で称賛されています。
ディーゼル
ディーゼルも同様に3.2%の増収を実現しました。この成果は、ブランドのリポジショニング戦略の効果が表れているとも言えます。さらに、若い消費者を意識したマーケティング施策が、特にファッションと音楽を繋げるイベントでのレイブパーティーが注目を集めています。
ジル サンダー
ジル サンダーは、戦略的な観点から中でも東京・銀座に新しい旗艦店を開設し、今後の成長が期待されます。また、2024年12月に初のファインジュエリーコレクションを発表し、さらなるブランド力の強化に繋げる予定です。
デジタルイノベーションとサステナビリティ
OTBグループは、デジタル技術を活用して業務効率を向上させる取り組みを加速しています。具体的には、AI技術の導入や生産プロセスの自動化による効率化が挙げられます。また、サステナビリティに関しても、ディーゼルが環境負荷を低減するデニム製造を進め、循環型経済を意識したプロジェクトに力を入れています。
OTBファウンデーションの活動
OTBグループは企業としての社会的責任も果たしており、OTBファウンデーションを通じて地域社会に貢献する活動を展開しています。特に、教育や女性支援に重点を置いたプログラムが目立っており、社会的影響を与える活動に積極的に参加しています。
結論
2024年度はあまり安定した市場環境ではありませんでしたが、OTBグループは戦略的な投資とイノベーションを通じて良好な成果を上げました。今後も成長を続けるための取り組みが求められる中で、デジタル化やサステナビリティ重視の姿勢が鍵となるでしょう。これからの展開に期待が高まります。