KERA CROSS 第六弾『消失』、東京公演開始!
2023年の新たな舞台シーズンが、ケラリーノ・サンドロヴィッチの名作『消失』の東京公演から幕を開けました。1月18日、東京・新宿の紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAで、この舞台が華々しくスタート。これまでのKERA作品に新たな息を吹き込む連続上演シリーズ《KERA CROSS》の第六弾として、その内容に期待が高まっています。
『消失』は、2004年に初演された後、2015年に再演もされた名作です。今回の演出は河原雅彦が担当し、彼は前回のKERA CROSSでの演出経験を活かし、KERA作品の深層に迫ります。物語の背景は、クリスマスの夜、兄弟が共に暮らす家に集まる6人の善意が絡み合い、日常が崩壊していく様子を描いています。この情緒あふれるストーリーは、視覚的にも感情的にも深い印象を残すことでしょう。
特に注目すべきは、キャストたちのパフォーマンスです。兄チャズ役の藤井隆や弟スタンリー役の入野自由、ガス修理業者ジャック役の岡本圭人、など多彩な演技者たちが集結。彼らの絶妙な演技を通じて、KERA戯曲特有のユーモアと恐怖を見事に表現しています。出演者同士のチームワークによって、舞台はますます生き生きとしたものになっており、観客は日常から非日常へと引き込まれます。
河原雅彦の演出は、物語に新たな次元をもたらしました。舞台上の色彩や雰囲気が、まるでモノクロ映画からカラーフィルムに変わるようで、観る者に新鮮な視覚体験を提供します。それにより、兄弟、ひいては参加キャラクター全てに温かさや愛情が感じられ、かつての厳しい現実を背景にしたディストピアが、より身近なものに映ることでしょう。
また、舞台美術や音楽、照明、衣装などの技術陣も素晴らしい仕事をしています。もともとクールで文学的だった『消失』が、今回の公演ではロマンティックなエンターテインメントとして再生されています。感情が高まり、登場人物たちが消えてしまう様子は、何とも言えない悲しみを観客に提供することでしょう。
KERA自身も、映画監督デイヴィッド・リンチからインスピレーションを受けていることが見受けられ、その影響を舞台からも垣間見ることができるかもしれません。東京公演は2月2日まで行われ、その後大阪・サンケイホールブリーゼで6日、7日に上演予定です。
公演開幕を祝して、演出の河原雅彦からは、「終演後、椅子から立ち上がりづらいかなりヘビーな芝居が仕上がりました! でもコメディ要素も満載なので、ぜひ劇場で体験してください」とのコメントが寄せられました。また、キャストも高い熱意を持って舞台を彩っています。チャズ役の藤井隆は、「初演ファンへの忠誠心が大切ですが、皆さんのおかげで頑張れます。大阪千秋楽まで全力で演じますので、ぜひ劇場にお越しください」と述べ、スタンリー役の入野自由も「大好きなKERAさんの作品に挑戦できる幸せを噛み締めています。ぜひこの作品を劇場で感じてください!」と語りました。
この名作の新たな形を見逃す手はありません。公演は2月2日まで東京で行われ、2月には大阪公演も控えています。観劇のチャンスをぜひお見逃し無く!