俳優と妻の深い絆を描いた感動のドキュメンタリー
HTB北海道テレビが制作したノンフィクション番組「生ききる~俳優と妻の夜想曲~」が、2025年の日本民間放送連盟賞番組部門で最優秀賞を受賞しました。これはHTBにとって、2019年のテレビドラマ番組「チャンネルはそのまま!」以来、6年ぶりの受賞であり、テレビ教養部門での最優秀賞は2003年の「霧の日記 アリューシャンからの伝言」以来の快挙です。
この賞は、全国の民放各社が参加し、年に一度、優れた番組や業績を表彰するもので、放送業界の発展を目指した歴史深いものとなっています。「生ききる」は、その映像の力、カメラワーク、そしてテーマへの深い理解から、特に高い評価を受けました。
番組は、闘病中の60歳の俳優・脚本家、斎藤歩が主役です。彼はがんと闘いながら新しい芝居を作り上げる姿を追ったもので、痛みをこらえて舞台に立つ彼の姿と、彼を支えようとする妻・西田薫との葛藤が描かれています。医療用麻薬を飲みながら奮闘する彼に迫る妻の思い、そして一緒にいることの厳しさは、視聴者の心に深く響きました。
沼田博光ディレクターは、取材を通じて得た経験を振り返り、「このような名誉な受賞をいただけて光栄です。俳優として全てをさらけ出した斎藤さんと、その背後から支え続けた西田さんのおかげでもあります。受賞の報告を歩さんに直接伝えたかったのが悔しい。」と語っています。なお、授賞式の日程は11月7日で、斎藤さんのお別れ会と重なるため、特に感慨深いものとなりそうです。
番組放送は2025年の2月2日(日)深夜1:15から。北海道のローカル放送ですが、その内容は全国の視聴者にも大きな感動を与えることでしょう。アナウンサーの森さやかがナレーターを務め、音楽には斎藤自身が関わっています。この番組は、がん患者やその家族が直面する現実をリアルに描いているため、視聴者にとって大切なメッセージを届ける作品となっています。
「生ききる」は、ただのドキュメンタリーではなく、人が病とどう向き合うかを問いかける作品です。病を抱える者同士の絆、愛の深さ、そして生きる意味を考えさせられる、大変重要な番組となっています。病気に対する理解を深め、感情の共有を促すことで、視聴者同士のつながりも生まれ、より良い社会の実現に寄与するかもしれません。この機会にぜひ、一度ご覧いただきたい作品です。