北海道テレビ(HTB)が制作するテレメンタリー2025、正式には「シリーズ戦後80年 不謹慎と言われても漫才で伝える北方領土」が、2025年7月27日(日)午前11時から放送される。この特殊な番組にはお笑いコンビ「アップダウン」が登場し、彼らが漫才を通じて北方領土の問題に視聴者の関心を集めるという新たな挑戦が描かれている。
アップダウンは、ボケ担当の竹森巧さんとツッコミの阿部浩貴さんから成るコンビで、1996年に結成されて以来、29年にわたって活動してきた。二人とも北海道の出身であり、高校の同級生でもある。彼らはそのキャリアにおいて、吉本興業に所属しM-1グランプリ準決勝進出など数々の勲章を持つが、近年竹森さんは漫才を続ける意義を見失い、引退の考えすら持っていた。
そんな彼が転機を迎えたのは、鹿児島県にある「知覧特攻平和会館」を訪れた際だった。この経験を通じて、日本の過去の歴史、特に「特攻隊」や「原爆」という重いテーマを、自らのスタイルで表現したいと考えるようになった。
依頼が舞い込んだのは、元島民のグループ「千島歯舞諸島居住者連盟」からであった。北方領土問題は長年にわたり解決の兆しが見えず、彼らが無関心を訴える中、アップダウンがその責務を担うこととなったのである。これまでは北方領土に関してあまり関心を持っていなかったという二人だが、「風化させてはいけない」という元島民の声が、制作を決意させる大きな要因となった。
番組の制作過程では、「不謹慎ではないか」との懸念が各所から寄せられたが、彼らは葛藤しながら温めたネタを磨き上げていった。漫才の中には、北方領土にまつわる様々なメッセージが込められる予定であり、視聴者に何を伝えたいのか真剣に考え続けた。
漫才が完成するまでには約8ヶ月間を要し、元島民たちの意見を反映することにも力を入れている。彼らは、続いて進める演目について様々な形で相談を重ね、できる限りの工夫を施したフィードバックを受けた。その結果、彼らが作り上げた「北方領土漫才」が元島民たちにどのように受け入れられたのか、そしてアップダウンが考えたメッセージは何だったのか、放送を通じて明らかにされる。
ナレーションには、多田萌加さんが起用され、彼女もまた北海道を拠点とするタレントとして幅広く活躍している。番組制作はプロデューサーの広瀬久美子さんが担当し、ディレクターは佐藤裕樹さんが務める。視聴者たちにとって、漫才という形式から少しずつ歴史に目を向けさせる新たな試みが評価され、新しい視点を提供することだろう。詳しい放送時間や番組公式サイトでの情報提供が行われるため、視聴者は続報を待ち望むことになる。