2025年に出版された高瀬乃一のデビュー作『貸本屋おせん』が、啓文堂書店時代小説文庫大賞に輝き、大きな話題を呼んでいます。この文庫は、すでに「オール讀物新人賞」、「日本歴史時代作家協会賞新人賞」に続く三冠を達成した作品であり、著者の高瀬乃一が新たな文壇の星として注目されています。
受賞を記念して、啓文堂書店全店では9月16日から11月15日までの間、特別フェアを開催します。このフェアでは、受賞作『貸本屋おせん』だけでなく、その続編『往来絵巻貸本屋おせん』も取り扱われ、時代小説ファンにはたまらない内容となっています。特に、舞台が江戸時代の出版文化が栄えていた文化年間となっており、主人公おせんが繰り広げるさまざまな事件が描かれています。
おせんは、重い荷物を背負いながらも、愛する本を届けるために奮闘する情熱あふれる女性です。物語の中では、板木の盗難事件や幻の書物探し、さらには幽霊騒動などさまざまな障害に立ち向かっていきます。彼女の情熱や聡明さ、そしてそのひたむきさは読者の共感を呼び、その結果、数々の賞を受賞することに繋がったのです。
高瀬乃一は、愛知県出身で名古屋女子大学を卒業した後、2020年に小説デビューを果たしました。初の単行本『貸本屋おせん』は、待ちに待った作品であり、2022年には続編も執筆されています。現在、彼女の次回作『梅の実るまで―茅野淳之介幕末日乗―』が山本周五郎賞や中山義秀文学賞の候補作にまで挙げられ、著者としての期待が高まっています。
さらに、受賞を受けて高瀬は「本に対する思いが結果として大きな賞につながったことは本当に嬉しい」とコメントを発表しました。彼女の言葉には、本への情熱とともに、読者との出会いを大切にしている姿勢が伺えます。また、啓文堂書店の後押しも大きな力になったことへの感謝を述べています。
この受賞記念フェアにぜひ足を運び、時代小説としての新たな魅力を発見してみてはいかがでしょうか。高瀬乃一の作品は、ただ楽しむだけでなく、時代を超えて愛される要素が詰まっています。これからの新たな作品にも期待が高まります。ぜひ、彼女自身の言葉で語られるストーリーをお楽しみください。