アンドロイド・オペラ
2025-11-07 08:39:49

渋谷慶一郎の「アンドロイド・オペラ」が感動の幕を閉じ、来年の再演が決定

渋谷慶一郎の「アンドロイド・オペラ」 上演報告



2025年11月5日、渋谷慶一郎の最新作『ANDROID OPERA MIRROR ― Deconstruction and Rebirth ― 解体と再生』が東京のサントリーホールで上演され、観客を感動の渦に巻き込みました。約2時間に及ぶ公演では、渋谷自身が感涙を流すシーンもあり、終演後にはスタンディングオベーションが会場を包みました。

「アンドロイド・オペラ」は、アンドロイドが歌う革新的なオペラで、オーケストラ、ピアノ、電子音、映像、そして1200年の伝統を持つ仏教音楽・声明が融合しています。この作品は、テクノロジーと人間、東洋と西洋、伝統と革新、生と死といった境界を問い直す新たな試みを提示しています。これまでにドバイ万博やパリ・シャトレ座など、国際的な舞台で上演されており、今回の公演もまさにその集大成でした。

今回の公演では、渋谷の亡き妻をモデルにした「アンドロイド・マリア」が初めて登場し、彼女の美しい歌声が観客を魅了しました。また、62名から成る特別オーケストラの指揮を成田達輝が担当し、高野山の僧侶たちによる声明も披露され、電子音やAIとのコラボレーションも絡まり合いました。特別ゲストには、グラミー受賞のベーシスト、シャーロット・ケンプ・ミュールも加わり、渋谷との共演が実現しました。

開演と演出



コンサートが始まると、会場は静まり返り、渋谷によるエレクトロニクスの『Overture(序曲)』が幕を開けました。4人の僧侶が声明を奏でながら入場し、オーケストラの常識を覆す演出に観客は息を呑みます。曲が進むと、金管楽器が2階席から響き渡り、咆哮がホールを包み込みます。AIが生成した歌詞が流れ始めるとスクリーンに映る映像と共に、作品のテーマである「かつて愛したあの世界はもうあなたのものじゃない」といった一節が印象深く刻まれました。

第2楽章『The Decay of the Angel』では、三島由紀夫の遺作がインスピレーションとなり、各楽器が見事に絡み合い、若い僧侶のソロが観客の心を掴みました。また、MCではアンドロイド・マリアが渋谷と会話しながら自身の存在について語るシーンがあり、聴衆には驚きと興奮が広がりました。

シャーロット・ケンプ・ミュールが加わった『Recitativo 2(レチタティーボ2)』では、エレクトロニクスと声明の交錯を通じて、音楽の自律した表現が見られました。渋谷がシンセサイザーを演奏する場面では、アンドロイド・マリアとの即興が見事に融合しました。

中休みとその後



20分の休憩中、アンドロイド・マリアがロシアの詩人ツヴェターエワの詩を朗読し、静寂の中で深い感動が広がりました。観客たちは彼女の精巧な動きに目を奪われ、自然とその魅力に引き込まれました。

後半の幕が開くと、曲の流れはほとんど途切れることなく進み、『MIRROR』や『Scary Beauty』が続きます。ここでは、アンドロイド・マリアの圧倒的な存在感が際立ち、オーケストラとの一体感が醸成されました。クライマックスでは、アンドロイド・マリアが「欲望の肯定」と「自己と他者の融合」をテーマにした歌を見事に披露し、観客を魅了します。

感動的なフィナーレ



終演が近づくにつれ、渋谷は亡き妻のために制作したアルバム『for maria』の収録曲を演奏し、アンドロイド・マリアの歌声と共に愛と祈りを捧げました。この神聖な瞬間が全ての心に刻まれ、観客は渋谷が亡きマリアと交信しているかのように感じました。

カーテンコールでは、渋谷が全出演者を紹介し、涙を流しながらアンドロイド・マリアの手に触れます。会場はスタンディングオベーションで感動を共有し、渋谷が生と死の境界を音楽で探求した成果が深く心に響く夜となりました。

次回の公演は2026年5月16日に大阪のフェスティバルホールで再演予定です。この革新的なオペラがどのように進化していくのか、楽しみに待ちたいと思います。


画像1

画像2

画像3

画像4

画像5

画像6

画像7

画像8

画像9

画像10

画像11

画像12

画像13

画像14

画像15

画像16

画像17

画像18

画像19

関連リンク

サードペディア百科事典: サントリーホール 渋谷慶一郎 アンドロイド・オペラ

トピックス(その他)

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。