桜田ひより主演映画『この夏の星を見る』に登場した宇宙線検出器の魅力

2025年の夏、新たな映画『この夏の星を見る』が公開予定で、注目を集めています。この作品は、直木賞作家・辻村深月氏の小説を原作としており、桜田ひよりが主演を務めることでも話題になっています。特に、映画の中で御崎台高校に所属する宇宙線クラブの体験が描かれ、それに伴う宇宙線検出器が登場することで、リアルな探究活動がストーリーに深みを与えています。

映画に登場する宇宙線検出器

実際に使用される宇宙線検出器は、女子学院中学校高等学校の天文班が運用しているもので、これを基にした設定で御崎台高校の宇宙線クラブが描かれています。この検出器は天文ドーム内に設置され、24時間体制で宇宙線を観測しており、2024年5月には大規模な太陽フレアに伴うフォーブッシュ効果を成功裏に観測した実績があります。この際、宇宙線の到来頻度が一時的に減少したことが確認されており、この現象は太陽の活動による影響があるとされています。現在も、同じ装置を使ってアメリカの高校生たちと定期的にオンラインで交流し、研究を進めています。

使用される検出器の詳細

もう一つの特徴的な検出器として、順天高等学校の生徒たちが用いる「コガモ検出器」が映画に登場します。これは京都大学が推進する雷雲プロジェクトで使用されている装置で、雷雲から発生するガンマ線を観測するためのものです。このプロジェクトでは、複数の市民サポーターの協力を得て、各地でデータ収集を行っています。たとえば、ひばり森中学校の理科室では、学生たちがこのコガモ検出器を使って、実際にガンマ線を観測する様子が描かれています。

加速キッチンの取り組み

宇宙線検出器の背後には、加速キッチンという団体の存在があります。彼らは映画に登場する検出器を含め、10種類以上の宇宙線検出器を中高生向けに提供し、探究活動を支援しています。これにより、学生たちは手作りの宇宙線検出器を使って観測を行うことができ、映画に登場する「手作り望遠鏡での星空観測」の趣旨も反映されています。加速キッチンのプログラムは、コロナ禍に活動が制限された中高生たちに向けて、自宅で行える探究活動を可能にするために始まりました。

オンラインでの交流

この宇宙線探究のサポートにより、今では国内外で200名以上の中高生が宇宙線観測に参加しています。彼らはオンラインを通じて他の国の学生たちとも交流しながら、さらに知識を深めています。特に女子学院高等学校のように、海外の高校生と共同で観測を行う例も増えてきています。このような活動が映画のストーリーに織り込まれることで、視聴者は新しい形の学びや交流を感じ取ることができるでしょう。