セイコー時間白書2025が明かす、時間と人生観の変化
2025年、私たちが迎える「2025年問題」という言葉は、現代社会に多くの影響を及ぼす未曾有の事象です。長寿化が進む現代において、人生が100年に達するという新たな常識は、私たちが時間をどう認識し、過ごすかに大きな変革を促しています。今回、セイコーグループは『セイコー時間白書2025』を発表し、この変化に取り組む生活者の時間意識や実態を調査しました。
調査の背景と目的
セイコーは、時の記念日である6月10日にちなみ、2017年より「時間」についての意識調査を実施し、毎年この結果を『セイコー時間白書』として発表しています。今年の調査では、長寿化に伴う人生100年時代における「時間の多様性」や、今や生活の一部となった「タイムパフォーマンス(タイパ)」、さらにAI技術の利用がもたらす影響を探求しています。
世代別の時間観とライフスタイル
年代別に見ると、10代から60代にかけての時間観には見逃せない変化が見られます。10代は「将来について楽観的」に捉え、未来を楽しむ姿勢を持つ一方で、30代から50代にかけては現実の厳しさから悲観的になる傾向があります。しかし、60代に入ると再び前向きな見方が広がってきます。このような変化は、それぞれの年代が直面する課題や環境によって形成されるものと言えるでしょう。
例えば、40代は今後の老後に向けての「考え」に53.0%が取り組んでいるのに対し、50代は「準備」に入りますが、60代には実際の行動として「完了」する割合が非常に低く、わずか10.0%とされています。これは、各世代の人生設計の違いを示唆します。夢や目標設定に対するアプローチが、年齢を重ねるごとに変化しているのです。
高まるタイパ意識とAI利用
一方で「タイパ」を意識した行動は、全体の60.4%が自覚し、特に若い世代では未だ最も顕著です。10代の69.5%が「タイパ行動」を重視し、様々な場面で効率を追求するようになっています。また、AIの普及が進む現代では、AIによって仕事やプライベートでの生産性が向上していると感じる10代は78.5%に達しています。これにより、時間の「幸福度」や「満足感」を求める傾向が強まるのも納得です。
現在の時間感覚
調査結果からは、64.0%の人々が「時間に追われている」と実感しており、日常の忙しさが浮き彫りになっています。「ばたばた」という言葉が3年連続で、生活を表す言葉のトップになっていることからも、その心境は伺えます。さらに、1日の24時間では足りないと感じる人も56.9%に及ぶため、現代社会に生きる私たちは、より忙しさを実感し、時間に対する意識改革が必要とされていると言えるでしょう。
まとめ
2025年を迎えるにあたり、前向きな世代の姿勢やAI技術の恩恵を念頭に置きながら、私たちはどのように時間を有意義に使うか考えるべきです。10代から60代にかけての世代間の時間観の変化は、これからのライフスタイルや価値観の形成に大きな影響を及ぼすでしょう。自分の時間をどう捉えるかは、現代社会において一人ひとりが自覚的に考えるべき重要なテーマです。セイコーの調査結果は、その道しるべとなるに違いありません。