漁網アップサイクルのamuが「グリーン購入大賞」を受賞
2023年10月、宮城県気仙沼市に拠点を置くamu株式会社が、グリーン購入ネットワークが運営する「第26回グリーン購入大賞」で大賞と経済産業大臣賞を同時に受賞しました。この賞は、環境に配慮した製品やサービスの普及を目的としており、特に優れた取り組みが選ばれるものです。
amu株式会社のビジョン
amu株式会社は、漁師が使用し終えた漁具を全国各地から回収し、その素材をリサイクルすることに重点を置いた企業です。彼らのブランド「amuca®(アムカ)」は、廃漁具をベースにした新しい素材の開発と販売を行なっています。回収した漁具のトレーサビリティを高めるため、消費者にとって理解しやすい形でストーリーを提供する仕組みを構築しています。これによって環境課題を「伝わる価値」に変換し、地域社会と消費者を結びつける役割を果たしています。
グリーン購入大賞とは
グリーン購入大賞は1998年に設立され、環境への配慮と社会的責任を遂行する事業者の製品やサービスを評価し、表彰しています。特に気候変動対策や再生可能エネルギーの促進、食品ロス削減といった取り組みが求められるこの賞において、amuのような企業が注目されることは、環境意識の高い社会の実現に寄与しています。
受賞理由と評価
amuが受賞した理由は、そのリサイクルシステムの構築だけでなく、地域経済への貢献や消費者意識の改革に対する期待が高く評価されたからです。特に、製品に付与された情報を通じて、消費者に感情的なつながりを感じさせる工夫が評価された点は見逃せません。
代表取締役CEOの加藤広大氏は、グリーンとデザインの融合について以下のように述べています。「環境に良いだけでは売れない」という現実に対して、直感的に魅力を感じるデザインを重視し、製品のストーリーと共に消費者への感動を提供することが重要だと言います。そのため、彼らはデザイン性に優れたアパレル製品を開発し、特に若い世代の心をつかむことに成功しています。
amuca®の素材の可能性
amuca®は、漁具を再利用した新たな素材であり、環境問題に取り組む企業にとって新しい選択肢です。廃漁具を「原料」としてリサイクルすることで、無価値とされていたものに新たな命を吹き込むこの活動は、持続可能な地域循環型モデルの拡大を目指す上でも大変重要です。さらに、2026年までに100トンの漁具回収を予定しており、国際的な展開も視野に入れています。
今後の展開と期待
将来的には、企業向けのCSRノベルティやユニフォームへもこの素材を活用し、環境配慮の重要性を広める活動を強化していく予定です。また、地域の文化や風景を反映したテキスタイルデザインと組み合わせることで、ブランドの価値も高めていくことを狙っています。
廃漁具から生まれた価値ある製品を通じて、地域を活性化し、環境課題への認識を高めるために、今後もamuは独自の道を邁進していくことでしょう。