池田晃将の新作展『螺鈿』が銀座で開催
漆芸作家・池田晃将(いけだてるまさ)の個展『螺鈿』が、2025年9月5日から9月22日までの期間、銀座一穂堂で行われることが発表されました。この展覧会では、彼の最新作を中心に、漆器の伝統技術である螺鈿を活用した独自のアートが披露されます。
池田は、奈良時代から続く螺鈿技法に、現代的なレーザー加工や超音波振動を導入することで、革新的な作品を生み出しています。特に彼の作品で目を引くのは、従来の自然や風景をテーマに粗製された装飾に代わり、「数字」という世界共通の記号を用いた点です。この新鮮なアプローチにより、彼は古い伝統と新しい視点を見事に融合させています。
デジタルと自然の交錯
池田の作品には、情報やデジタルの象徴ともいえる「数字」が色濃く反映されています。彼は貝殻をレーザーで精密にカットし、超音波振動を利用して微細に整えた貝片を用いて、漆の器にデジタル信号や幾何模様を螺鈿として施します。この手法により、彼は「デジタルと自然」や「有機と無機」が融合した美を表現しています。
未来を感じさせる作品
展示される作品には茶器や香合、小箱などが含まれていますが、これらは単なる工芸品ではなく、彼が意図する「未来の遺物」を象徴しています。白い木曽檜で作られた基盤に漆が塗られ、極小の貝片が美しく輝く様子は、まさに未来を見据えた新しい美の形を示しています。軽やかでありながら、見る者に強い印象を残すこれらの作品は、池田の探究心と革新の象徴でもあります。
数字の美に魅了された過去
池田晃将が「数字の美」に目覚めたのは、高校時代のネパールでの世界遺産修復活動がきっかけでした。世界中の宗教建築の装飾に触れる中で、彼は「時を超える美」に心を奪われ、自らもそのような作品を創造したいという願望を抱くようになりました。彼の作品には、過去の伝統と現代の技術が融合し、未来への架け橋となる美しさが込められています。
同時開催のアートフェア
また、池田晃将の作品は2025年9月12日から14日まで開催される「Tokyo Gendai」にも出展される予定です。この国際的なアートフェアでは、Ippodo Gallery Tokyoのブースにて、個展では見ることのできない新作が紹介されます。これにより、国内外で注目を集める池田の活動を、個展とアートフェアの両方で体験できる貴重な機会になります。
展示概要
作家略歴
池田晃将は1987年に千葉県に生まれ、金沢美術工芸大学で工芸を学びました。2016年には大学院を修了し、その後も国内外での展覧会に出展。特に2023年にはメトロポリタン美術館に作品が収蔵されるなど、国際的な評価を得ています。彼の作品は、今や多くのアート愛好者や収集家の注目を集めています。