VIEが明らかにした、音楽がもたらすノスタルジアの新たな効能とは

VIEが示した音楽とノスタルジアの深い関係

VIE株式会社は、音楽が私たちの感情や記憶にどのように影響を与えるのかを探求する研究を行い、その成果を科学的に発表しました。この研究では、脳波とAIを活用して、個人にとっての「ノスタルジアを喚起する楽曲」を自動的に推薦するシステム「Nostalgia Brain-Music Interface（N-BMI）」が開発されました。

研究の背景と目的

音楽には懐かしさを呼び起こす力があり、その感情は心の健康や幸福感に寄与することが知られています。高齢化が進む現代において、人々がどれだけ心身の健康を保ちながら生活できるかが重要な課題になっています。先行研究を基に、懐かしさが人の孤独感を和らげ、自尊心や楽観性を高めることが確認されていますが、個々人に適した楽曲を特定するのは難しい課題でした。この問題を解決するために、VIEは脳波データと楽曲の特徴を組み合わせ、最適な曲を見つけ出すシステムを開発しました。

N-BMIの仕組み

N-BMIは、ウェアラブル脳波計を使用して、楽曲聴取中の脳活動を測定し、それに基づいてノスタルジアの感情を評価します。このプロセスでは、音楽がどのように主観的なノスタルジアに影響を与えるのかを解析し、個々のユーザーに合わせた音楽プレイリストを作成します。実験では、若年層と高齢者の双方でノスタルジア感情やウェルビーイング、記憶の鮮明さが向上することが確認されました。

実験の結果

研究に参加した若年者グループは、自分が選んだ懐かしい曲を聴いた後、他者が選んだ曲に比べてノスタルジアの感情が有意に高く評価されました。高齢者グループでも同様の結果が見られ、直感的な幸福感や記憶の明確さが向上しました。また、データ解析の結果、脳波からノスタルジアの状態を読み取ることも可能であり、高齢者では特にその精度が高いことが示されました。

今後の展望と応用

VIEが開発したこのシステムは、認知症予防や心理的ウェルビーイングの向上に役立つ可能性があります。すでにこの技術は、高齢者向けの「うたメモリー」という製品に実装されており、日常生活における記憶や感情のサポートを提供しています。VIEは、今後もニューロテクノロジーと音楽の融合を追求し、さらなる研究と実践を進めていく計画です。