渡辺えりが贈る『少女仮面』の魅力
2025年6月、オフィス3〇〇にて、唐十郎の傑作戯曲『少女仮面』が新たに上演されることが決定しました。この作品は1969年に初演され、岸田戯曲賞を受賞したことで多くの観客に親しまれてきました。演出を担当する渡辺えりは、長年にわたり演劇界で活躍している実力派であり、彼女自身も42年前にこの作品で春日野八千代役を演じていた経歴を持つ唯一無二の演出家です。
渡辺えりの演出意図
今回の公演は、唐十郎の追悼公演としての意味合いも持ち合わせている。渡辺は、70歳を迎えた今、自らの演技及び演出の原点を探る旅としてこの作品を再演する決意を固めたと言います。幼少期から掲げてきた平和への祈りや舞台への夢を込めて、渡辺は自身の成長を反映させた新たな『少女仮面』を作り上げることを目指しています。
演劇の醍醐味は生演奏にあり、今回もご多分に漏れず、劇中には小室等作曲の劇中歌があますところなく使用され、三味線、チェロ、バイオリンによる生演奏が一層の見どころとなることでしょう。
キャストと物語の魅力
新たに演じるキャストたちも多彩で、大鶴佐助や土屋佑壱、吉田裕貴といった実力派が揃い、さらに黒島結菜や夢乃、鈴木楓加などの若手も日替わりで出演。甘粕大尉の役を誰が演じるのか、毎回新たな発見を提供してくれることが嬉しいポイントです。
物語は、東京都内に存在する地下喫茶『肉体』を舞台に展開されます。戦前から続くこの謎の喫茶店を経営しているのが、宝塚の伝説の男役スター、春日野八千代。彼女は「嵐が丘」のヒースリック役の稽古に励みながら、登場を待つ相手役キャサリンのことを心に抱いています。この設定こそが作品の奥深さを象徴しており、春日野が持つ複雑な心理状態や、観客との情感溢れるやり取りを引き立てます。
物語は進むにつれ、東京大空襲という歴史的背景を持つ登場人物たちの過去にスポットを当て、舞台は感情の収束と膨張を繰り返すことになります。愛や舞台への夢が交錯する中で、登場人物たちの運命がどのように展開していくのかに注目です。
公演情報
公演は2025年6月11日から22日までザ・スズナリで行われ、チケットは一般8,000円、U-30・当日引換券は5,000円でご利用いただけます。先行販売は4月10日から始まり、一般発売は4月26日からとなります。詳細は公式サイトをご覧ください。
この新生『少女仮面』が、どのような新しい感動を提供してくれるのか非常に楽しみです。観客の皆様、ぜひ劇場に足を運んで、その魅力を体験してください!