TBSとMBKデジタル、業務効率化を目指す新たな一歩
2023年、株式会社MBKデジタルと株式会社TBSテレビは、生成AIを利用した革新的な自動レポーティングシステム「AIレポート」を共同開発しました。この取り組みは、TBSでの定期レポート業務の負担軽減と報告品質の向上を目的としています。ここでは、このプロジェクトの内容とその背景を詳しく見ていきます。
業務改善を目指したアプローチ
TBSは、生成AIの導入を通じて業務効率を向上させるための実証実験を行うため、MBKデジタルにスキーム開発を依頼しました。両社は、TBSが保有する配信データであるTBS-DMPを活用し、生成AIによってどのようにビジネスに役立つインサイトを引き出すかを考えています。
MBKデジタルは、TBSから提供された多様なデータとクエリを基にAIレポートの設計を行いました。その中では、業務実態に即した高精度なレポート作成のために、実際の運用現場からのフィードバックを受け入れ、それに基づくプロンプト設計を行いました。このような過程により、日々の業務に役立つ情報を自動的に生成する仕組みが確立されました。
レポート作成の負担を軽減
特にTBSにおいては、毎週月曜の朝に経営会議用の定期レポートを作成する必要がありますが、この業務は特に負担が大きいとされています。しかし、新たに導入された「AIレポート」は、BigQueryとGeminiを活用し、単なるデータの集計を超えて、過去の傾向に基づく分析コメントを自動生成することが可能です。これにより、担当者の作業負担を軽減しつつ、高品質なレポートを標準化して提供できるようになりました。
人工知能による高度な分析
「AIレポート」は、従来のBIツールとは異なり、データの単純な抽出や整形に留まらず、視聴傾向や過去の実績を文脈に含めた分析を行います。業務に携わっていた社員の経験に基づく「気の利いたコメント」の自動生成を可能にすることは、大きな進展です。これにより、TBS社内でもこのプロジェクトが注目され、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として評価されるようになっています。
MBKデジタルの意義深い挑戦
株式会社MBKデジタルのシニアアナリストである松本祥三氏は、このプロジェクトに対して「BIツールは数値を出力することはできるが、人間の判断基準に基づく評価まではできない」と述べています。今回の取り組みでは、社員に求められる判断をAIがどのように再現するかを重視した設計を行い、成功を収めました。今後、MBKデジタルはテレビ業界を中心に、様々な業界でのレポーティング業務の負担軽減を進めていく予定です。
AIレポートによって、従来のBIツールでは実現できなかった解釈や分析コメントの自動化が可能となり、業務の質とスピードの両立が期待できます。TBSとMBKデジタルが進めるこの新しい取り組みは、今後のビジネスシーンにおいても大きな影響を与えることでしょう。