象牙を使わない箏コンサート
2025-11-11 11:19:36

「象牙を使わない箏コンサート」で新たな文化を体験した夜

「象牙を使わない箏コンサート」で新たな文化を体験した夜



2025年10月31日、東京・渋谷区の東京ウィメンズプラザで、「象牙を使わない箏コンサート~筝曲の地平線を望む夕べ」が開催されました。このイベントは、絶滅危惧種であるゾウの保護を目的としたもので、認定NPO法人野生生物保全論研究会(JWCS)によって主催されました。コンサートは、開発されたばかりの象牙代替素材を使用した演奏が行われ、参加者からは大きな拍手が送られました。

コンサートの背景


かつて、アフリカには多くのゾウが生息していたものの、象牙の需要が高まったことにより、絶滅危惧種となっています。1964年から2016年の間に、サバンナゾウは約70%、マルミミゾウに至っては90%も減少したと言われています。これに対し、国際的な取り組みとして象牙の国際取引が禁止されているものの、日本国内では依然として象牙が販売され続けているのが現実です。

このような背景のもと、和楽器である箏には象牙が使われているため、代替素材の開発が求められてきました。今回のコンサートでは、アフリカの伝統打楽器と箏のコラボを通じて、邦楽の未来とゾウの保護について深く考える場となりました。

コンサートの内容


開会の挨拶と講演


主催団体JWCSの鈴木希理恵事務局長は、過去のワシントン条約締約国会議での経験を語り、ゾウの保護と日本の象牙需要との矛盾を指摘しました。また、象牙代替素材によるコンサートが実現できたことの意義を強調しました。

さらに、講演では日本における象牙需要の歴史や、社会的影響についても深く掘り下げられました。トラ・ゾウ保護基金の坂元雅行氏は、ゾウ密猟がいかに深刻かを訴え、国内市場の閉鎖が急務であると述べました。

一方、中越パルプ工業の橋場洋美氏は、竹を利用した新素材「nanoforest」の開発経緯を説明し、この素材が箏にも使用されていることを紹介しました。

演奏のクライマックス


続いて、演奏が始まりました。最初の2曲はマイクなしで演奏され、象牙代替素材の音色が観客に伝わりました。その後、アフリカの打楽器とのコラボレーションにより、会場全体が一体となって音楽の力を感じる瞬間が生まれました。ここでは、象牙を使用しないことで新たな可能性が生まれることを示す場となりました。

演奏を行ったのは、箏のマクイーン時田深山、打楽器のアブドゥ バイファル、篠笛/フルートの笛吹かなの3名です。参加者は多様な音色に感動し、代替素材の可能性を実感した様子でした。

参加者の声


参加者からは、「幅広い音楽を体験でき、代替素材が持つ表現の幅広さに驚いた」という意見や、「技術と理念が融合した素晴らしい公演だった」との声が寄せられました。また、「ゾウと人間が共存する未来について考えさせられた」といった感想もあり、参加者の心に強い印象を残しました。

今後の取り組み


最後に、認定NPO法人野生生物保全論研究会では、今後もゾウの保護や象牙市場の閉鎖に向けた活動を続けていく方針です。次回のイベントとして、ワシントン条約締約国会議報告会がオンラインで開催予定であり、多くの関心が寄せられています。

「象牙を使わない箏コンサート」は、単なる音楽イベントを超え、環境問題や人と自然の共生について参加者に新たな視点を提供しました。今後もこのような取り組みが広がり、象牙に頼らない文化が形成されていくことを期待したいです。


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