広島・長崎から80年、原爆ドキュメンタリー放送の意義とは

BBCワールドサービスの新作ドキュメンタリー

2025年8月9日（土）、BBCワールドサービスによる新しいドキュメンタリー『ヒロシマで何が起きたのか（What Happened at Hiroshima）』が放送される。この作品は、広島と長崎に対する原爆投下からの80周年を記念して制作されたもので、全30分の内容となっている。

番組のテーマと目的

ドキュメンタリーの制作にあたり、受賞歴を持つジャーナリストのジョーダン・ダンバーが取材とナレーションを担当。この番組は、「歴史の繰り返しを止めることはできるのか」という問いを基に、過去の悲劇を後世に伝える重要性を強調している。広島原爆の悲劇や被爆者たちの証言を通じて、核兵器の本質やリーダーシップの責任について深く掘り下げる作品となっている。被爆者たちの生の声を聞くことで、視聴者に歴史を振り返るきっかけを提供しようとしている。

証言者たちの物語

番組では、実際に被爆を経験した人々の証言が紹介される。その中には、広島で8歳だったケイコさん、6歳だったケンジさん、13歳だったミキオさんなどのストーリーが含まれている。また、放射線の影響を受けたサトシさん（1歳半の時）や、原爆が落ちた3年後に生まれたキョウコさんも登場し、彼らが抱えた傷や心の問題について語る。特に、「差別、偏見、沈黙」といったテーマが浮かび上がり、被爆者たちの存在そのものが「語ってはいけないもの」とされた事実を見つめ直している。

現在と過去のつながり

冷戦後も続く核の脅威や、現在の国際情勢における緊張は、被爆の記憶と深く結びついている。ダンバーは、被爆者たちが語る過去と現在のつながりに耳を傾けており、特に「核兵器の破壊力を本当に理解しているか？」という現代の指導者たちへの問いかけを行う。さらに、もし「最後の体験者」がいなくなった後に、私たちがどのようにその記憶や教訓を伝承していくのかという課題も提示される。

放送の詳細

このドキュメンタリーは、8月9日（土）18:30から放送され、翌日、12日、13日にも再放送が予定されている。視聴可能なチャンネルは、BBC Newsチャンネルおよび日本国内向けに提供される日本語字幕つきの放送も見逃せない。インターネット動画サービス（HuluやAmazon Prime Videoなど）でも視聴できるので、全国どこでも簡単にアクセスできる。放送時間は特色のある内容で構成され、視聴者に強いメッセージを伝えることを目指している。